アーユルヴェーダの栄養学についてお伝えします。
馴染みのない考え方かもしれませんが、とてもシンプルな考え方です。
食材ごとの性質を把握できるようになると、アーユルヴェーダ的な食事法を習得しやすくなります。
アーユルヴェーダの栄養学
アーユルヴェーダは、5千年も前からある科学です。
栄養学といっても、「カロリー」とか「ビタミン」とか「タンパク質」とかがどうのという話はでてきません。
「栄養学=食材の性質を紐解く」と考えてください。
アーユルヴェーダでは、食材ごとに、7つの性質をみます。
それは、古代のリシたちが感得したもので、経典の中に書かれているものもありますが、
大切なのは、個々の食品(同じりんごでも一つひとつのりんご)に対して、その性質を自分がどう理解するか、これを感じ取る力を養うことです。
栄養学を学ぶメリット
食材ごとの特徴が分かると、次のようなメリットがあります。
- 自分に合う食材が分かる
⇒現在の自分の特徴との比較から、どの食材は今の自分に合っていて、どの食材はあっていないのか、分かるようになります。 - バランスする(調和する)食材の組み合わせが分かる
7つの性質
アーユルヴェーダにおいて、食材ごとに捉える7つの性質は次の通りです。
①物質(Dravya ドラッヴィヤ)
「名前」と思ってもらえばよいです。
また、五元素のバランスがどのくらいあるかも表します。
たとえば、レモンは「火」(酸味があることから)、机は「地」、部屋は「空」です。
②質(Guna グナ)
その食べ物が持っている性質です。
たとえば、牛乳の持つ質は「重」「冷」「湿」などがあります。
その他、アーユルヴェーダが捉える10組20種類の性質(グルヴァディ・グナ)については、こちらの記事で解説しています。
③動作(Karma カルマ)
カルマという言葉は聞いたことがあると思います。
それ自体は「行為」という意味です。
栄養学においては、その食べ物がドーシャにどう働きかけるか、と捉えます。
たとえば、はちみつはカパを下げる、など。
ドーシャについてはこちらの記事をご覧ください。
>>アーユルヴェーダとは
④味(Rasa ラサ)
舌で感じる味のことです。
サンスクリット語のラサ(rasa)は、「味」と「感情」の両方を意味します。
味が心に感情を生み出し、感情が身体に味を生み出すことを示唆しています。
アーユルヴェーダでは6味(シャッド・ラサ)を捉えます。
6味は次の6つです。
- 甘味(Madhura マドゥーラ)
- 酸味(Amla アムラ)
- 塩味(Lavana ラヴァーナ)
- 辛味(Katu カトゥ)
- 苦味(Tikta ティクタ)
- 渋味(Kashaya カシャーヤ)
⑤作用(Veerya ヴィールヤ)
温めるまたは冷ます特質のことです。
- 熱性(Ushna ウーシュナ)
- 冷性(Sheeta シータ)
例えば、冷性の強い食べ物にきゅうり、熱性の強い食べ物にトマトがあります。
熱性の食品は、身体の消化能力を高め、エネルギーを他の代謝作業に解放します。
冷性の食品は、消化に余分なエネルギーを必要とします。
腸は、体の他の部分からこのエネルギーを得て、その結果、他の活動を減らす必要があります。
⑥消化後の作用(Veepaka ヴィパーカ)
食べた後の味と、それがもたらす効果(消化が終了し、栄養素が組織の奥深くで吸収された後に発生する)です。
甘味、塩味は消化された後、甘味を生み出し、満足のいく、栄養価の高い効果を生み出します。
酸味は消化された後酸味を生み出し、新しいものを消化したいという欲求を高めますが、多くのことを加えたり減らしたりすることはありません。
苦味、辛味、渋味は一般に辛味を生み出し、肉体的および精神的なものを消費したり、外に流したりします。
ただし、舌で感じる味と消化後の味(性質)が違うものがあります。
たとえば、アムラはとても酸っぱいフルーツですが、消化後の味は「甘味」です。
⑦効果(Prabhava プラッブハーヴァ)
特質、食べた後の作用のことです。
たとえば、冬瓜は子宮の浄化や利尿作用、トゥルシーはデトックス、ゴツコラは記憶力増進、などです。
ゴツコラについてはこちらの記事でご紹介しています。
>>若返り・美肌・認知症予防に効くアーユルヴェーダハーブ「ゴツコラの」効果効能
いかがでしたでしょうか。
慣れないサンスクリット語が出てきて、難しく感じたかもしれませんが、
アーユルヴェーダの基礎知識ですので、何度も反芻して、食品の7つの性質について覚えましょう。