【これから子育てをする人へおすすめの本】子供へのまなざし│佐々木正美

子供へのまなざし おすすめ本

ロングセラー育児書『子どもへのまなざし』。

これから子育てをする方にも、そうでなく自分は関係ないと思っている方にもおすすめの本です。

本稿では、佐々木正美著『子供へのまなざし』を読んだ感想をお伝えします。

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子供へのまなざし

福音館書店から発刊されている『子どもへのまなざし』。

1998年に初版が出て以降、55刷以上も版を重ねているロングセラーの育児書です。

著者は、児童精神科医の佐々木正美さん。

最初、女性の方かな?と思っていたのですが、読んでいるうちに、男性であったと気づきました。

この本を手に取ったきっかけ

妊娠

妊娠したのがきっかけで、姉にこの本を教えてもらいました。

妊娠初期で、様々な不調を覚え外出や仕事、家事もままならず、けれど時間はたっぷりあるという状況の中で、

子供を産む前の今、育児書を読んでおきたいと思いました。

この本には、乳幼児期を中心とした子ども時代に、親はどのように子どもと接していけばいいかというメッセージが詰まっています。

実例(臨床経験に基づいた知識)や心理学の理論から、説得力のある、かつ分かりやすい文章でまとめられているので、とても読みやすかったです。

育児経験がない

私には育児経験がありません。

二人姉妹の妹なので、親の子育てと下の子の成長を目の当たりにすることもありませんでした。

子育てに関わる仕事、子育てに関する仕事もしておらず、

姉に子供ができてからも、実家から離れた県に住んでいて、ほとんど育児の様子を見られてはいなかったので、

子育てに関する知見がまったくありませんでした。

本書の中に、『育児本や雑誌、メディアよりも人から話を聞くことのほうが、育児不安を抱きにくい』という記述がありましたが、

今できることとして育児本も読んでおこうという気持ちで開きました。

理想は理想として把握しておきたい

本書の中でも、著者が「理想なのでその通りにはいかない」と言及している箇所が何度も出てくるのですが、

理想、それも、いろいろな(人の考える)理想を認識しておくことは、無駄にはならないだろうと思います。

料理もそうですが、まず基本や理想形があります。

でも、みんな面倒くさいとか、忙しいとか、そこまで求めないからという理由で、どんどん自分流に崩していくのです。

子育ても、理想は分かるけど、結果、毎回はできなかったり、つい念頭から外れてしまったりすることがあるだろうと、まだ子育てをしていない私でも想像できます。

けれど基本や理想を知らなければ、何が自分からこぼれ落ちてしまったかにも気づけないまま、惰性で子育てをすることになると思います。

一つの理想を知る参考として、読もうと思いました。

育児に関する豊富なアドバイス

ここから、本の中に詰め込まれているアドバイスや、印象に残ったメッセージについてご紹介したいと思います。

乳幼児期の育児は建物の基礎部分

建物の基礎は、建物を支える重要な部分だが、あとから取り換えができない。

乳幼児期の育児とは、まさにその建物の基礎を作ることなので、育児をすること、または育児に携わることは、大変重要な、素晴らしい仕事だといっています。

現代の大人は、つい、自分の仕事とか、趣味を優先しがちで、自分の都合に乳幼児を合わせようとしてしまうのですが、

この時期の育児をしっかりすれば、後の育児がずっと楽になることが示唆されています。

私の頭の中は、妊娠するまでほぼ仕事でいっぱいだったのですが、優先順位を考え直さないといけないなと思いました。

母親の精神心理状態は胎児に伝わる

本書の順番とは前後するのですが、胎児学に関する部分も少しだけありました。

ここでの教訓は、

  • 母親の気持ち(喜怒哀楽)は胎児に伝わるから、妊娠中の母親はできるだけ平和で安らかな気持ちでいたいものだ

ということです。

母親がつらい経験(※)をした場合に、そのつらい経験をした時期が産後である母親よりも、妊娠中であった母親の子供の方が、精神的身体的にマイナスな影響を受けた。

という臨床実験結果があるようです。
※つらい経験:夫の不倫、近親者の死、家族中の悪化などの経験を挙げている

子供が受ける影響とは次のようなものです。

  • 集中力、落ち着きに欠ける
  • 感情のコントロールができない
  • ストレスへの抵抗力が弱い(結果としてアレルギーにかかりやすい)

この結果の理由について、胎児と母親の絆の強さを挙げています。

お母さんから赤ちゃんへは、胎盤を通し成長に必要なものが渡され、不利なものは通過しないようにできているのですが、例外があります。

  • 有機水銀
  • 梅毒スピロヘータ
  • お母さんの精神状態の変化を象徴する物質の多く

まさに胎児がお腹にいる今、安らかな、甘い気持ちを抱けるようにしたいな……と思いました。

子供の要求にできるだけ十分に応える

乳幼児期の育児で大切なポイントがたくさん挙げられています。

  • 子供の要求や期待(抱っこしてほしい、あやしてほしいなど)にできるだけ十分に応える
  • 「こうするんでしょ、そうしちゃいけないんでしょ」とおだやかに繰り返し伝える
  • 子供が自然にできるようになるまで辛抱強く待つ

するべきこと自体は難しくないのですが、毎日、毎分毎時間、ずっとそれを継続するのは、とても難しそうです。

理屈ではわかっているけれど、感情が邪魔してできないということもあるでしょう。

だから、「できるだけ十分に」と書かれているのですね。

また、よくない例についても言及しています。

  • 子供の小さな要求を見逃す、さぼる、無視する
  • すぐ成果が上がるように強制的な伝え方でこちらの要求をしてしまう
  • 賞罰を与えるやり方で早くいい結果を出そうとする

まだ子供が生まれていないのでなんとも言えませんが、ついやってしまいまそうな言動が挙げられていますね。。

人とのかかわりあいの中で子供は育つ

育児不安を抱きにくくする方法がいくつか述べられています。

  • 親子関係だけを一生懸命やるのではなく、いろんな人間関係を大事にする
  • 父親は、子供だけでなく、妻とコミュニケーションをしっかりとる
  • 育児本や雑誌よりも人から話を聞く

母親が頼れる相手、話を聞いてもらえる相手がいると、それだけ不安が軽減されることから、常日頃から人間関係を大事にすることの大切さが説かれています。

親、きょうだい、友人、同僚、近所の人、地域の人……

そして、これが現代では非常に難しくなってきたとも。。

父親は、もちろん一緒に子育てを行うのですが、胎児に栄養を与える、産む、おっぱいをあげる、など、どうしても母親の代わりにはなれない部分があるので、

父親は子供を気遣うだけでなく、母親にしかできない役割を担う妻をも気遣おうということです。

父親、母親だけでなく、周囲の人みんなで子供を育てる。

現代の、都会的な子育ての現実の姿を、どうしても考えてしまうのですが、理想はこのような姿ですよね。

また、親の人間関係だけでなく、子供も、親子関係以外の人間関係を豊かにすることで健やかな成長を遂げられるといいます。

友達と接し、学び、与えられ、与えるという経験を通して成長する。

勉強や大人から学ぶ習い事は、あとからだってできるけれど、人格の形成、人間性を育てることは、乳幼児期が肝心だし、あとからは簡単に学びなおせない。。

いい子とは?人を信じる力

  • その年齢に相応した子供らしさを持っている子供

がいい子であり、一般的にいい子と言われる

  • 親の言うことをよく聞き、面倒のかからない子供

は必ずしも健全な成長を遂げていない。

これを、著者は実験結果をもって、説得力のある説明をしています。

後者は、親に求めていることをしてもらえなかったという経験の中で、人への「信頼感」を欠き、「無力感」を抱いている子だといいます。

しかし、人を信じる力を身に着けることが、乳幼児期には何より大切で、これはその後自分を信じる力に変わります。

聞き分けが良い、言われたことをきちんとする、という子供は、自立しているように見えてその逆、受け身で、自分がどうしたいかが分からず支持の中でしか動けない子供になってしまいます。

「子供の要求にできるだけ十分に応える」

の章に書いてあることを十分に行うと、子供は人を信じる力を得るといいます。

手がかからないと楽なのですが、こんな気持ちで子育てをしてほしいと、筆者はいっています。

  • 待つ
  • ありのままを受け入れる
  • 子供が失敗した時に守ってあげる

過保護と過剰干渉は違う

本書でたびたび出てくるキーワードが「過保護」と「過剰干渉」です。

過保護

過保護は、子供が求めていることをなんでもかんでもやってあげることについて、そう呼んでいます。

※子供が学校で喧嘩をしてけがをすると殴りこんでくる親や、年頃の娘に課している門限が異常に厳しい時などにも「過保護な親」ということがあるかもしれませんが、ここではあくまで乳幼児期の話をしています。

過保護にする=子供の求めることにできるだけ応える、ことについて、ここでは肯定的に書かれています。

泣いたらその都度、抱っこしたりあやしたり、おんぶと言われたらどんな状況でもおんぶしたりしていると、「甘やかされてるわね」なんて言われるかもしれませんが、

著者の信じるところでは、「愛情の与えすぎでだめになる子供はいない」ということです。

その時の欲求が満たされてこそ次に進めるのであって、欲求が満たされないと、一見前進したように見えても、それは偽物の前進で、真の成長は遂げられていない。

過剰干渉

一方、「過剰干渉」。

これは親が過剰な期待を子供に課すことで、子供の自由な発達を妨げてしまうことです。

条件付きの愛情、ともいっています。

親は、子供の将来をより豊かなものにしてあげたいという思いやりや愛情のつもりで、過剰な期待を向けます。

でも、子供はこれを「現状の僕には満足していないんだ……」という「拒否」に感じてしまっています。

親は子供に指示をし、期待し、束縛します。

そうすると子供は、自分は何をしたいのかが分からなくなり、自発性、主体性が育たなくなってしまいます。

過剰期待をしないために、親に必要な姿勢は以下のことだと筆者はいっています。

  • 親は成果を気にしすぎない
  • 早期教育をするにしても、「淡々」と行う
  • 子供を自己愛の対象にしない

親は、子供がこの世で様々な経験をする「人生」を与えるけれど、

どのような人生を選ぶか、歩むかについては、子供の自由であり、干渉するものではない。

そういう風に読めましたね。

こんな一文もありました。

自分が相手に対してどういう感情をもっているかは、相手が自分に対して思っている感情と、ほぼ一致する

これは、複数対複数、個人対個人の関係、どちらにもいえます。

たとえば、親が子供のことを不足に思っていると、子供も親のことを不足に思っています。

でも、親が「ありのままでいいよ」という態度であれば、子供も「そのままのお父さん、お母さんで十分だよ」と思ってくれています。

子供を幸せにするために親も幸せに

この本は、技術や知識を教えようとする人ではなく、人間性、人格が形成される時期の子供を育てる人に向けて書かれた本です。

勉強や、習い事で得られる知識や技術は後から身につけられても、人間性を後から学ぶことは難しい。

けれど、思いやりのある人間になることは、他の何よりも大切と思う親が多いはずです。

思いやりがあるとは、人の喜びを喜び、悲しみを悲しむことができるということです。

どうすれば、そういう子供が育つか。

  • 子供は親が口で言うことより、やっていることをマネする

大人の思いやりのあるふるまいから、子供は思いやりを学び、優しさから、やさしさを学びます。

子供を幸せに育てようと思ったら、まずは親がそれができる大人、幸せな大人にならなければいけません。

子供だった親にも向けられる温かいまなざし

本を読んでいる間中、これから生まれてくる自分の子供と親としての自分を思い浮かべるだろう……

と思っていましたが、頭に浮かぶのは、自分が子供時代のことばかり。

乳幼児期のことが中心に書かれているのですから、記憶にないことがほとんどなのですが、自分は親からこんな風に育てられたのだろうか、この時の子育てがあって、あの時の自分があって、今の自分になっているのか……

子供へのまなざしを学ぶ本ではあるのですが、自分が向けられていたまなざしが思い出される本であると思います。

この本を読んで、自分はこんな風に育てられていなかった、もっとこうしてほしかった、と思う方もいるかもしれませんが、

それを教訓に、自分が子供にできる精一杯の子育てをすることで、かつての自分も癒されることと思います。

 

これから子育てをする人も、そうでない人も、是非一度読んでみてください。