「生理学・解剖学」カテゴリーアーカイブ

生理が来ない(無月経)原因と改善策

無月経、月経不順になり、悩んだ経験のある方は多いのではないでしょうか。

私もその一人です。過去にはホルモン剤を投与し生理を誘発しましたが、これは西洋的な「問題への対処」であり、アーユルヴェーダがやりたいこと「原因の排除」ではありません。

アーユルヴェーダを知る前にはこの概念がなかったことと、自分の身体や生活習慣への意識、危機感が足りなかったため、精神的にストレスを受けやすいという自分の体質や、生活習慣の何かを見直さなければならないことに、無頓着でいました。

偶然にも環境が良くなったから生理周期が安定した、では、自己治癒したことにはならず、自分の健康が、外部に委ねられていることになります。このようなお医者さん、薬頼みの状態では、いずれまた同じことが繰り返される可能性があります。

本記事では、どんな状況や環境にあっても、生理周期を正常に保つために私たちにできることを、アーユルヴェーダの視点からお伝えします。

生理のしくみ・メカニズムについて知りたい方はこちら
>>生理のしくみ・メカニズム

※掲載情報にはできる限り正確性には配慮していますが、結果は人により異なる場合があり、特定の結果を保証致しません。また、医療行為・医学的なアドバイスではありません。

免責事項についてはこちらをご確認ください。

 

正常な生理周期とは

月経が始まった日を1日目と数えて、次の月経が開始する前の日までを月経周期と定義します。個人差はあるものの、月経周期は25日~38日であれば正常といえます。

 

無月経とは

無月経とは、月経が来ないことを示す医学用語です。

18歳以上になっても1度も月経の発来のないものを原発性無月経といいます。

初潮を迎えてからしばらくは排卵が定期的に生じないことも、珍しくはありません。ある月に軽い月経があり、その後数カ月は全く月経がないこともあるでしょう。これは、排卵に必要なホルモンであるFSHやLHホルモンを生成する下垂体が未発達なために生じている現象です。

妊娠以外で3か月以上月経のこない状態を無月経(続発性無月経)といいます。

本記事で取り上げるのは、続発性無月経です。

 

ホルモン剤(ピル)の処方

生理がこないと、多くの女性がパニックになり、医者に行って月経を調整する経口避妊薬(ピル)を処方してもらいます。

しかしピルは原因を治すわけではありません。

ホリスティック(総体的)に物事を見るアーユルヴェーダのプラクティショナーならば、女性の身体に機能を回復する時間と方法を与えることでしょう。

 

生理が来ない原因

一般的には女性ホルモンバランスの乱れですが、乱れの原因には次のものがあります。

※一人ひとりの体質や環境は異なるため、ここに記載していることが全てではありません。

・過度のダイエット
・肥満
・ストレス
・環境の変化

これらをアーユルヴェーダの視点で言い換えると、生理不順の原因は次の通りとなります。

・食生活の乱れ
・生活習慣の乱れ
・ドーシャバランスの乱れ
・弱いアグニ

ドーシャについて知りたい方は以下の記事をご覧ください
>>【ヴァータ・ドーシャ】体質・特徴・食事のおすすめ
>>【ピッタ・ドーシャ】体質・特徴・食事のおすすめ
>>【カパ・ドーシャ】体質・特徴・食事のおすすめ

アグニについては以下の記事をご覧ください
>>消化の火・アグニとは

また、糖尿病や甲状腺不全、女性ホルモンをコントロールする脳下垂体の腫瘍や内科系のほかの病気が原因の可能性もあるため、無月経が長引く場合は必ず医者に相談しましょう。

 

生理周期を安定させる方法

アーユルヴェーダの観点からの推奨法となります。

・正しい食生活
・生活習慣の見直し
・ドーシャバランスを整える
・アグニを回復させる

原因の裏返しが緩和策です。
ドーシャバランスの安定とアグニの回復は、正しい食生活と生活習慣の結果としてもたらされるとすれば、食生活と生活習慣の見直しに重点を当てるべきです。

具体的に見ていきましょう。

 

生理不順への対処:ディナチャリア(理想的な一日の過ごし方)の実践

アーユルヴェーダでは、時間にも優勢なドーシャがあり、それぞれの時間帯に何を行うべきか、ガイドラインを与えています。

アーユルヴェーダは科学が進歩するずっと前から、経験的に健康法を体系化したホリスティック医療です。簡単なアドバイスですが、現代医学の理にも叶っているのです。

ですが、一見、当たり前のこと過ぎて、こんなことで本当に解決されるのか、また若い人は、こんなおばあちゃんみたいな生活……と思うかもしれませんので、解剖学的・生理学的根拠についても端的に記載したいと思います。

それでは、対処策を見ていきましょう。

 

早寝早起き

規則正しい生活の第一歩です。

早起きして自然光(日光)を浴び、夜はできれば午後10時には就寝しましょう。

睡眠リズムと、睡眠時に分泌される「メラトニン」と自然光を浴びることにより分泌される「セロトニン」は女性ホルモンに深く関係しています。

メラトニンは視床下部のお隣の松果体から分泌されるホルモンで、次の働きがあります。

・体内時計の調節(光により判断)
・抗酸化作用があり生殖細胞が活性化する
・ホルモンバランスを正しいリズムに改善する
・卵胞ホルモンが過剰に作られるのを防ぐ

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、三大神経伝達物質の一つです。
(ちなみにあとの二つはアドレナリンとドーパミン)

セロトニンには、女性ホルモンのバランスを安定させる働きがあります。

朝起きるのが遅いと、目から光が入らないのでなかなかセロトニンが分泌されません。

メラトニンはセロトニンやトリプトファンなどと合成して作られるものなので、セロトニン不足はメラトニン不足にもつながります。

つまり、早起きして太陽光に当たりセロトニンの分泌を促すこと、また早く寝てメラトニンの分泌を安定させることが大事なのです。

 

夜中に長時間テレビを見ない・パソコンやスマホを触らない

日没後、人口光(人工的な光)に長時間自分をさらさないようにしましょう。

テレビやスマホ、パソコンなど、強い光を放つものを遠ざけます。

光によって体内時計を調整している松果体がうまく働かず、メラトニンが分泌しにくい状態になってしまいます。

メラトニンと女性ホルモンの関係は上記の通りです。

 

ストレスを避けるために最善を尽くす

視床下部と下垂体は、脳の感情中枢の近くにあるため、多大なるストレスがかかると月経が止まることがあります。

また、上述のメラトニンを分泌する松果体は、視床下部のすぐそばで、お互いに影響し合います。

月経がない時があるということは、ストレスの多いライフスタイルを見直すべきということであり、ヨガや呼吸法、瞑想をスタートさせる良い機会です。

ストレスへの対処法については、この記事の範囲外になるので、別の機会に取り上げられたらと思います。

 

ヨガを通し生理周期を安定させる

ヨガは、月経の機能を正常に戻すために、二つの方向性から働きかけを行います。

①ストレスの緩和
つらい状況に追い込まれたり、過労や限界を感じたりする時は、安らかなリストラティブポーズやゆっくりとした優しいアーサナを行いましょう。神経系が落ち着き、生殖系が正常に戻る機会を与えます。

②内分泌系のバランスを回復
下垂体、甲状腺、そして視床下部の機能を正常に戻すよう促します。
逆転、後屈、ねじりのポーズに焦点をあてて行いましょう。

 

自律神経を整える呼吸法と瞑想

プラーナヤーマ(呼吸法)の実践も有効です。

特にナディ・ショーダナ(片鼻式呼吸法)は効果的です。左右10セット~30セット行い、その後数分間でも良いので瞑想を行います。方鼻式呼吸法は自律神経を整えるのに最適で、瞑想は新たな視点からストレスを見つめることにつながります。

ヨガと呼吸法、瞑想の実践は、ヴァータのエネルギーの流れを良くし、生殖器官を司るアパーナ・ヴァーユの乱れを整えます。

 

規則正しい食生活と適正体重のコントロール

規則正しい食生活は、強いアグニを保つために必要です。
アグニが弱まり毒素が溜まると、ドーシャの乱れや疾患の原因となります。

不規則な食事はヴァータを乱し、ヴァータはピッタやカパを巻き込んで身体中にそれぞれのドーシャの疾患をまき散らします。

アグニが乱れている時の状態や、強いアグニを保つために必要なことは別の記事で書いています。

>>消化の火・アグニとは

自分の体質に合った食事、季節の野菜を使った新鮮な料理、6味のそろった満足感の得られる食事を摂りましょう。

このような食事の知恵は、アーユルヴェーダ料理教室でお伝えしています。

アーユルヴェーダ料理教室についてはこちら

アーユルヴェーダに基づいた食事法を行っていれば、極端に体重が増えることも、減ることもないでしょう。

痩せている体が美しいという固定概念を取り払うことも重要です。

そのためには、自分の体質を知る必要があります。全ての人が、その本来の自然な状態が「痩せている状態」とは限りません。
※ただし、「体質だからしょうがないわよ~」と安易に太っている状態を肯定することとは違います。

適正体重の時の自分のプロポーションに不満があったとしたら、その不満は自分のものなのかどうか確かめてみましょう。

 

リラクゼーションの練習と休憩をとる

特に夜9時以降は、うるさい音楽を消し、刺激的なテレビを見るのをやめ、小難しい自己啓発本を閉じ、ゆっくりとリラックスできる時間を作りましょう。普段酷使しがちな視覚を休ませます。

読みたいと思っていた本を読む、アロマを楽しむ、好きな音楽を聴く、湯船につかる。

幸福感をもたらし、自分を大切にできることならなんでも行います。何もしないというのも良い選択です。

 


無月経、月経不順になる原因は人それぞれです。

一般的な改善策にあてはめるだけでなく、まずは生活の中で「これは良くないだろうな」という点を見つけてみてください。

全ての問題を一気に解決しようとせず、できることから見直してみましょう。

 

【アーユルヴェーダ料理教室のご案内】

◆アーユルヴェーダ料理を食べてみよう!
体験会の詳細・お申込みはこちら

◆アーユルヴェーダ料理を作ってみよう!
単発レッスン(お楽しみ会)の詳細・お申込みはこちら

◆《資格の取れる》理論と実践で学ぶ!アーユルヴェーダ基礎と食事法
アーユルヴェーダクッキングアドバイザーコースの詳細・お申込みはこちら

 


生理のしくみ・メカニズム

アーユルヴェーダ料理教室に来た生徒さんたちに、最近の体調を尋ねる中で、共通のお悩みを抱えていらっしゃる生徒さんがいることに気がつきました。

最近生理を終えた方が多く、今月の生理はきつかったと仰るのです。

最近の急激な天候の変化(西日本を中心とした豪雨、その後三連休にさしかかって急激な気温の上昇・連日の猛暑)によるものではないか、などと話し合いました。

生理前・生理中の症状として、むくみ、頭痛、めまい、生理痛があり、こんなにも同じ悩みを抱えていたなんてと驚きました。

生理に関する悩みは、生活習慣・食習慣に関わるところが大きいですが、私たちはなかなかそれを見直すことができないものです。

そこで、本記事では生理とは何か、生理のメカニズム、生理が起こるしくみを生理学的に解説します。

これを理解することで、一番欲しい情報である「どうすれば良くなるか」を見た時に、「なぜ良くなるのか?」がしっくりきて、生活を見直そうという気持ちが起きるはずです。

ちなみに、医学が発達していなかった時代には、アーユルヴェーダでは、ドーシャのバランスの乱れで、生理に関わる不調を説明してきました。
生理学的、解剖学的に生理のしくみが解明されたことで、ドーシャの乱れとその整え方が的を得ていたことが裏付けられているのです。

※掲載情報にはできる限り正確性には配慮していますが、結果は人により異なる場合があり、特定の結果を保証致しません。また、医療行為・医学的なアドバイスではありません。

免責事項についてはこちらをご確認ください。

 

生理に関わる内分泌系と生殖器系

私たちはよく「女性ホルモンの乱れのせいで」生理周期が安定しないとか、生理が重かったといいます。

女性ホルモンは子宮で分泌されるので、私たちは子宮から生理が始まるように考えがちですが、実は女性ホルモンを分泌するようにと指令を出している脳から、生理は始まっています。

女性ホルモンは「視床下部」⇒「下垂体」⇒「卵巣」の働きによって分泌されます。

「視床下部」がホルモンの分泌を「下垂体」に対して促します。下垂体では、次の二つのホルモンを産出・分泌します。

①卵胞刺激ホルモン(FSH)
②黄体刺激ホルモン(LH)

このホルモンが血液によって身体をめぐり、卵巣に届くと、卵巣が次の2つのホルモン(一般的に女性ホルモンといわれる)を産出・分泌します。

①卵胞ホルモン
②黄体ホルモン

視床下部

視床下部は内分泌系の非常に繊細な部分で、脳の感情中枢付近に存在しています。また、体の基本欲求である飢え、喉の乾き、性欲、体温などを記録する働きがあります。

感情の変動(ストレス)や身体的病気から影響を受けると、視床下部が間違った、または不完全な情報を送ってしまい、女性ホルモンの分泌が過剰、あるいは不足し、体のバランスが崩れてしまうのです。

松果体

松果体(しょうかたい)は、脳の中央、2つの大脳半球の間、左右の視床体に挟みこまれるようにして存在している、小さな涙型の分泌腺です。

松果体は、光の明暗に反応し、睡眠を助けるメラトニンというホルモンを作り出します。松果体は、日々浴びている自然光と人口光の量を記録してそれに反応するだけでなく、季節的な変化にも反応し、お隣の視床下部との関係も密接です。

メラトニンには、主に次の3つの働きがあり、正常に分泌されないと、ホルモンバランスが乱れてしまう原因になります。

①抗酸化作用があり生殖細胞が活性化する
②ホルモンバランスを正しいリズムに改善する
③卵胞ホルモンが過剰に作られるのを防ぐ

ちなみに、「我思う、ゆえに我あり」という命題で有名なフランスの哲学者・デカルトは、松果体を「魂のありか」と呼び、「精神の座」と考えました。

また仏教における「第三の目」は、松果体を表すものとされています。

 

生理はどのようにして起こるのか

視床下部の指令により下垂体がFSH、LGを分泌し、卵巣でまずはエストロゲン、次にプロゲステロンが順番に作り出されます。

図を見てみましょう。エストロゲンとプロゲステロン量は月経初日に最も低い値を示します。

エストロゲンの増加が排卵の直前まで続き、その間に卵巣の中で卵子が成熟します。それと同時に、子宮内膜が発達して肥大し、卵子が成長できるような安全かつ栄養の豊かな場所が形成されます。また、膣への血流が高まり、子宮頚部が滑らかになり、精子が侵入しやすい環境が作られます。

エストロゲンは生理周期の前半をコントロールし、排卵と生殖の準備を整える役割があるのですが、この時期に最大量に達したエストロゲンは、感情にも影響を与えます。

※エストロゲンは感情に左右される視床下部の刺激を受けて形成されるもので、鶏と卵の関係のようでもありますが。

また、女性の月経周期と月の満ち欠けは関わりがあるように言われていますが、それに沿うと、ちょうど満月が生理の時期にあたり、新月に排卵を迎えます。

満月から新月に向かう時期(エストロゲンが分泌される次期)は、デトックス、心の浄化の時期です。心身に可能性が満ちて、性欲が生じ、外交的かつクリエイティブになります。

しかし、エストロゲンのバランスが崩れると、生理痛や不妊症、子宮筋腫、そして激しい気分の乱れが生じます。

月経周期の後半は黄体化の段階であり、プロゲステロンが増加します。卵子が排卵を離れて子宮に向かい、身体が妊娠の可能性に向けて備え始めます。

卵巣の黄体が形成したプロゲステロンが、増加した血流にのって子宮に栄養を届け、子宮頚部に厚みのある粘液腺を形成して、バクテリアの侵入を防ぎます。
そして妊娠が起こらないと、エストロゲンとプロゲステロンの生成が激減し、子宮の内壁が焼失し、子宮内膜が月経血として排出されるのです。

新月(排卵)から満月(生理)に向かう時期は、月が満ちるように、私たちの心のキャパシティーを示すたらいの水が満ちて、感情がいっぱいいっぱいになります。

プロゲステロン生成量のバランスが取れていると、たらいの水が満ちても思慮深く、直観力が鋭くなりますが、プロゲステロンの量が過多になると、憂鬱感や倦怠感が生じ、たらいから感情があふれ出してしまうのです。

 

肝臓と腎臓による大掃除

最後に大きな役割を果たすのが、肝臓と腎臓です。

これらの臓器によって、過剰なエストロゲンやプロゲステロンが不活性になり、その他の環境有害物質とともに腎臓を通して排出されます。

しかし、肝臓が停滞する、あるいは過活動になると、効率的に機能しなくなり、不必要なホルモンが血流に再吸収されることがあります。

すると、過剰なホルモンが身体に存在する状況となり、多量な出血、不順、にきび、疲労、鬱、そして消化不良などの問題を抱える可能性がでてきます。

 


いかがでしたでしょうか。

生理のメカニズムは、知っているようで、知らないものです。

毎月の生理は億劫だと思います。

しかし、生理は、25日毎、あるいは35日毎に体を浄化し、その月の間に蓄積した残骸や有害物質を全て集めて月経決とともに排出する作用をもちます。そのため、アーユルヴェーダでは、月経決を生じる女性の方が、男性よりも健康上優位であると捉えています。

生理が憂鬱なものになるか、優れたデトックスになるかは、生活習慣病と同じように、私たちの日々の行いによって決まります。

別の記事で、私たちのどのような行動が、生理にどう影響を与えるのかお伝えします。

 

【アーユルヴェーダ料理教室のご案内】

◆アーユルヴェーダ料理を食べてみよう!
体験会の詳細・お申込みはこちら

◆アーユルヴェーダ料理を作ってみよう!
単発レッスン(お楽しみ会)の詳細・お申込みはこちら

◆《資格の取れる》理論と実践で学ぶ!アーユルヴェーダ基礎と食事法
アーユルヴェーダクッキングアドバイザーコースの詳細・お申込みはこちら