「お酒をやめられません」
「お酒はそんなに悪いものと思えません。やめる必要はあるのでしょうか?」
「お酒との関係性を見直したいです」
というご質問・ご相談をよくいただきます。
そこで本稿ではお酒に関するアーユルヴェーダの見解についてお伝えします。
お酒は薬?毒?
アーユルヴェーダコンサルテーションや実践講座にて、クライアントの健康に関する提言をしています。
その中で、コンサルでも「お酒」との付き合い方を考え直さなければ…と思っている人が多く、2023年夏~秋に行ったコンサルでは、8人中3人が該当しました。
ほろ酔い程度の飲酒は、心の緊張をほぐして、ストレスを軽くするといいますよね。
他にも、血行が良くなる、コミュニケーションも促され人間関係が円滑になるなど、アルコールを飲むメリットがうたわれています。
お酒=やめるべきと言う認識と納得感がなければ、関係性を見直せるわけはありません。
ではアーユルヴェーダではどうみなしているのでしょう?
お酒に関するアーユルヴェーダの見解
アーユルヴェーダでは5000年前からこう言っています。
「何事も過ぎれば何の役にも立たない」
「適量の飲酒は健康に良いが、頻繁な飲酒を勧められない」
基本的にはアーユルヴェーダでは、アルコールは有毒とみなされます。
経典の言葉
経典には次のように書かれています。
バランスを失っている人たちはアルコールが幸福を生み出すと考えている。
しかし、アルコールは幸福と心の純粋さ(サットヴァ)を失わせる。
アルコールの誤用は、錯覚、恐怖、悲しみ、怒り、死、病気を引き起こす。
真我とのつながりの欠如は悲惨な状況をもたらす。
これらの影響を知っている人はアルコールを避ける。
※経典の言葉は、そのままの引用ではありません。
「厳しめ」「批判的」に捉えられる言葉は私の方でやんわりとした表現に変えさせてもらいました。
治療目的で使用することがある
ただし、アーユルヴェーダが例外的にアルコールを用いることはあります。
特定の状態の人に対しては、特定のアルコールを摂ることが良いと言われています。
私もアーユルヴェーダの施設で養命酒のようなものを食前に飲みました。
アーユルヴェーダの文献では、ワイン(特に赤ワイン)の心臓血管の健康に対する健康上の利点が強調されています。
消化を促進し、消化の問題を解決し、安らかな睡眠を促す
特定の健康状態を念頭に置いて作られたアルコール飲料は「マディヤ」と呼ばれます。
有毒ではなく医療効果のあるアルコール飲料のことです。
ルールを守って飲む
「アーユルヴェーダでは、特定の状態の人に対しては、特定のアルコールを摂ることが良いと言われている」と書きました。
とはいっても、今私たちが日常でお酒を飲む飲み方とは全然違います。
何時間もキンキンに冷えたアルコールを、何種類も飲み続けることはしないです。
アルコールを飲む場合にも、アーユルヴェーダにはルールがあります。
自分の体質、消化力、病気、年齢、季節、組み合わせる食べ物、原材料、容器…
これらをクリアしないまま、アルコールを摂取することは、勧められません。
飲酒時には以下をクリアするべきとされています。
- 身体がアルコールを消化できる状態
- 飲酒が悪影響を与えにくい体質
- 飲酒時に適切な食べ物を食べている
- 年齢と病気(既往歴)
- 季節・気候に合っている ※12月は少量の赤ワインが勧められる時期
- アルコールの原材料に不適切なものが入っていない
- 容器の種類が適切
アルコールとオージャス
アルコールはまた、オージャス(※)と拮抗し、即座に枯渇させ、体の防御力を低下させ、心のオージャスをも減らします。
※オージャス:生命を維持するための最も重要な要素の1つ。肉体的免疫の基礎。
オージャスの十の性質は、ミルクやギーと似ていて、アルコールと毒の反対です。
>>【アーユルヴェーダ基礎知識】オージャスって何?簡単セルフチェック
オージャス
・重い
・冷たい
・油っぽい
・柔らかい
・心地よい
・安定している
・濁る
・甘い
・滑らか
・微細な経路に広がる
アルコール
・軽い
・熱い
・乾燥
・鋭い
・素早い
・広がる
・透明
・酸っぱい
・微細
・全身に浸透する
相反する性質が意味するもの
アルコールとオージャスが反対の性質をもつということは、アルコールがオージャスを減少させることをはっきりと示しています。
つまり、活力素、肉体的免疫の基礎が、脅かされるということです。
アルコールとの関係を見直したいと思っている人は、この部分をしっかり認識することが、改善の第一歩です。
知性に従うには、その知性を納得していることが、とても重要です。
お酒との関係性を見直すためのマインドと知性
基本的に、必要もないのに、その人が望んでいないのに、その人の習慣にダメ出しする趣味は私にはありません💦
けれど、お金を払ってこちらにコンサルテーションを受けに来た人たちには、今の習慣のどこが、なぜ問題なのかしっかり認識してほしいのです
※その上で、提案を受け入れるかどうかは、クライアントさんたちの判断に委ねていますが。
知性はサンスクリット語で「ブッディ」と呼ばれます。
認識と訳されることもあります。
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机の上に置かれているのはボールペンだ。
ボールペンは何かを書くものだ。
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このように、ありとあらゆる物事を識別し、認識する力がブッディです。
「お腹が空く前に次の食べ物を食べると消化力が弱まる」
この知識によって、食べない方が良いと判断し、実際にそうすることが、サットヴァな知性です。
逆に、この知識があるにも関わらず「おやつに美味しいものを食べたい」という欲望に屈してしまうことがあります。
それが、知性がタマスに傾いている状態です。
※サットヴァもタマスも心の性質「マハグナ」の一つ。
サットヴァ:バランスが取れた状態
ラジャス:動性
タマス:惰性
サットヴァ知性に従うにはまず、その知性に「納得感」を持てているかどうかがとても重要だと思います。
お酒を呑んでいても、健康に問題がないなら、別にお酒のアーユルヴェーダ的見解なんてお伝えしません。
けれど、何かしらの心身の不調があり、オージャスが不足している時の特徴があてはまるのなら、一時的にだけでもお酒との関係性を見直し、どう自分が変わるか、観察してみるのがいいのではないかなと思います。
特別な日だけにするなど、工夫が必要ですね。
おわりに
アルコールを否定するようなことを書いていますが、
私はアルコールを否定したいのではなく、「関係を見直す必要がある」と感じた方が、そこに納得感を持ちやすいように、この情報をお伝えすることにしました。
私は特定の食べ物に白黒つけることが好きではありません。
それを生業にしている人に、大変失礼だからです。
けれど、それが明らかに心身へ影響していると判断される場合には やめてみてどうなるか、試してもらう価値があると思っています。
今回の「アルコール」もそうです。
お酒は人類の歴史上、とても重要なものでした。
重要な儀式や祭礼で使われるもの、人生の重要な場面で寄添ってくれるもの。
だから私もお酒はいいなって思ってました。
もともと、ビール会社の社員でしたしね(笑)
お酒全般を否定するわけではないですが、もし、「酒に呑まれている」という状況なら、ちょっと冷静になって、自分を俯瞰してみるのもいいかもしれませんね。
まとめ
アルコールに関するアーユルヴェーダの見解
- アルコールの毒性をはっきりと指摘
- オージャスと拮抗する ⇒免疫力を弱くさせる
- 特定の療法としてアルコールを用いる(摂取する)こともある
- 「ほどほど」が重要
- 飲酒時に守るべきルールを掲げている
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