安定期に入り、妊娠期間中最も快適に過ごせる妊娠中期。
本稿では、妊娠中期の心と身体の変化や、赤ちゃんの様子、妊娠中期のヨガの目的などについてお伝えします。
妊娠中期の心と身体の変化
安定し始める身体と心
この時期は、妊婦さんの多くが絶好調に感じるときであり、エネルギーにあふれ、実にセクシーになるときです。
個人差はありますが、私は妊娠13~14週頃から、少しずつ体調が良くなってきました。
HCGホルモン値が下がったのか、つわりが収まり(それでも時々は船酔いが戻ってきましたが)、料理をする意欲も湧いてきました。
胎動を感じる
妊娠5~6ヶ月の頃には、胎動を感じられるようになります。
蝶が羽ばたいているようだという人もいれば、穏やかな空気の流れのようだという人もいます。
やがて、キックや突き、左右への押し出しなども経験することでしょう。
多くの妊婦さんがそうだと思いますが、最初は、自分の感じたものが胎動なのかどうか分かりませんでした。
しかし、だんだんと赤ちゃんの力が強くなり、妊娠七か月を迎える頃には、赤ちゃんが元気に動き回っているのを頻繁に感じられるようになりました。
日中、一人で過ごしている時も、胎動を感じると、とても温かな気持ちになりました。
赤ちゃんがお腹にいることを感じると、見いつものスーパーや散歩に行った時でさえ、見慣れた場所や見慣れた景色が、特別に思えたものです。
体重管理
妊婦さんは、妊娠前の自分の体形や体重を加味して、体重をコントロールしていく必要があります。
多くの人が、体重管理の必要性について、助産師さんなどからアドバイスを受けることでしょう。
1週間に、300~500gの増加に留めるべきだ、と言われると思います。
体重は増え続けますが、その半分は身体が生成する体液の増加によるものです。
この体液が血流中を循環し、軟組織や筋肉、そして器官に入っていきます。
靭帯を軟化させ、赤ちゃんを受け入れやすいように身体を整え、胎盤に適切な血流と栄養を与えます。
妊婦さんの体は脂肪を蓄えるようになり、丸みを帯びてきますが、その脂肪は、妊娠の終わりに赤ちゃんに必要となるものです。
血液量の増加
母体と赤ちゃんのために、より多くの血液が生成されます。
妊娠中期の終わり頃には、血液量は約40パーセント増加しています。
心拍数も上がり、血管の壁は十分に弛緩し、酸素や栄養を赤ちゃんに送るスピードが上がります。
しかし、下肢の大静脈の弁や門も弛緩してしまうため、静脈痛や痔を招くこともあります。
歯茎が出血しやすくなり、性欲が上がりやすくなっている、という方もいるかもしれません。
赤ちゃんの様子
妊娠16週にもなると、赤ちゃんはお母さん・お父さんの声、外界の音を聞くことができるようになります。
お腹の中で動きまわり、聞いた音に反応しています。
また、肋骨と脊柱が固くなり、足も伸びます。
この頃までには、赤ちゃんの性器が形成され、検診で男の子か女の子か分かるかもしれません。
この3ヶ月で大切なことは、発達よりも成長です。
子宮は拡大し続け、6ヶ月頃にはおへそを越します。
赤ちゃんの頭は、身体の他のパーツ全てを足したものよりも大きくなくなり、首や肩が頭をより垂直に保つことができるようになり、手足の指紋も出来上がります。
また、生まれてからおっぱいを吸うために、指をしゃぶる練習もしています。
妊娠中期のヨガの練習
お腹が大きくなるにつれて、できる限りお腹を圧迫しないものへと練習を移行させていく必要があります。
逆転のポーズをすると骨盤から赤ちゃんを引き上げられ、しばしの解放を与えてくれるかもしれません。
赤ちゃんが快適になるようヨガをする
この時期は、赤ちゃんが快適であるかをヨガの焦点にすることをおすすめします。
妊婦のためのヨガとは、赤ちゃんのための空間を作ることなのです。
例えば、山のポーズ (ターダーサナ) を行なう場合は、足をそろえず、腰幅に開いて空間を作ります。
足をそろえると、骨盤部位を閉じてしまうからです。
軽減法や補助道具を取り入れる
身体の前面をどれくらい開くことができるか、お腹にどれだけの空間を作れるか、脊柱をどのくらい伸展させられるか、という基準に添ってポーズを選びましょう。
そして、自分や赤ちゃんにとってより快適なものにさせるために、ポーズを修正します。
例えば、三角のポーズ (ウッティタトリコーナーサナ)や半月のポーズ(アルダチャンドラーサナ) を、手をブロックの上に置いて行なってみましょう。
下向きの犬のポーズ(アドームカシュヴァーナーサナ)は、お腹が大きくなるにつれて、手をブロックの上や、椅子の背の上に置いたほうが快適かもしれません。
壁やプロップスを使って身体をサポートし、疲れたら無理をせず休むことが大切です。
>>【マタニティヨガ】安全に快適に行うために必要な道具と基本の流れ
避けるべきポーズ
以下のポーズは避けるべきです。
- うつ伏せになるポーズ
- サポートなしで仰向けになるポーズ
- 腹筋を収縮させるポーズ
- 腹筋を圧縮させるねじりのポーズ
- 心地良くないポーズ
この時期に推奨されるねじりのポーズは、賢者のポーズ(バーラドゥヴァージャーサナ)と立位の聖者のポーズ (ウッティタマリーチャーサナ)のみです 。
これらのねじりのポーズは、腹部を圧迫することなく脊柱を引き上げて伸展させ、肩を広げます。
ヨガのクラスに参加する
ヨガ初心者であるか否かに関わらず、妊婦さんには、ヨガクラスに参加することをおすすめします。
同じような経験をしている女性たちの間にコミュニティ感覚をもたらすので、他の妊婦さんたちと接すること自体がよいことなのです。
また、マタニティヨガのクラスでは、通常クラスでは学べないことを学べます。
今までとは違うところに焦点を当てます。
例えば、妊娠に向けてどう対処するか、身体が大きくなるに従ってどのようにポーズを変えていくかを学ぶことができます。
心と身体に赤ちゃんのための空間を作る
ヨガを通して、まず心の中に赤ちゃん用の空間を作ります。
もちろん、身体の内側にも赤ちゃんのための空間を作ります。