シャンティの意味・シャンティマントラ│内なる平和のために他者のために祈りましょう

シャンティ アーユルヴェーダ

ヨガのレッスンなどでよく耳にする「シャンティ」という言葉。

どのような意味があるのでしょう。

コロナウイルスが蔓延する中でストレスフルになる自分の心にも響くシャーンティマントラ。

どのような意図をもって、その言葉が繋がれているのでしょう。

スポンサーリンク

給付金は私にこそ必要で満ち足りたあの人には必要ない

コロナによる経済的な打撃。

給付金は、いったい誰に、どのような条件で給付されるのか。

決定までの間、心がざわざわするのは仕方ないことかもしれません。

 

そんな中、こんな言葉を耳にすることがあります。

「金持ちには給付金は必要ない」

「あの人たちの分も私のところに入ってくればいいのに」

 

また、経営困難のため契約打ち切りにされた派遣社員のことを

「調整弁」

と呼んでいることを聞いたこともあります。

 

有事の時は、普段潜在意識の中にある、

特定の人への憎悪、妬み、劣等感、嫉妬、不満などが浮き彫りになりやすいと思います。

他人と自己を分離する考え方も。

 

ヨガのレッスンの終わりなどに、

「Om shanti shanti shanti(オーム シャンティ シャンティ シャンティ)」

というマントラを唱えることがあります。

この2回目に唱えるシャンティの中には、上記の考え方や、マインドを鎮める意味が含まれています。

自分でない人のために祈るのです。

そうすると自分にもメリットがあるのですが、それはなぜでしょうか。

それについて解説する前に、シャーンティという言葉自体を見ていきましょう。

 

シャンティ

「Om shanti shanti shanti(オーム シャンティ シャンティ シャンティ)」

シャンティという言葉の意味

サンスクリット語には、全てのことばに語源(ダートゥ)があります。
※アーユルヴェーダでは体組織のことも「ダートゥ」といいますね。

シャンティの語源はshan(シャン)。

「静寂、平和、穏やか」

という意味、またそのような状態を作り出すための象徴です。

自分の考えが穏やかで静寂になり、あるがままに見えていなかった真実が見えるようになると、ストレスや苦しみが取り除かれ、平和な心になります。

シャンティには

「平和でありますように、穏やかでありますように」

などの意味があるのですね。

 

 

なぜ3回唱えるのか

シャンティを3回唱える意味にはいろいろな説があるようですが、代表的なのは以下の2つだと思います。

  • 体・心・スピリッツを平安に導く。
  • 自分・周囲・世界の三位の平和を祈る(以下解説)

1回目のシャンティ(自己の平和を祈る)

自分自身が幸せで穏やかであるように祈ります。

自分自身の考えが平和であることが大事です。

愛するためには、まず自己を愛することが必要だとフロムも言っていたような気がします。

誰かの考えから行動が伴い、広がり、結果が広がります。

そのため、自分の考えは平和であらなくてはなりません。

2回目のシャンティ(周囲の平和を祈る)

周囲、すべての生きとし生けるもののために祈ります。

自分に関係のある人(たとえば、家族や友人、同僚)はもちろん、関係ない人、あるいは、好きではない人、劣等感を抱く人たちのためにも祈ります。

 

「でも、そんなのきれいごとです」

もしかしたら、そう思うかもしれませんね。

 

嫌いな人や、この人がいると困る。

そんな人も幸せで、平和でありますようになんて祈ることは、ちょっと難しいですよね。

先ほどの、コロナによる経済打撃で、他者と自分を比較する中で、自分より恵まれている人のために祈るなんてことはできないかもしれません。

でも、そういう人達にも幸せになってくださいと祈ったほうが、自分にとっても良いのです。

もし、

「もっと不幸になればいいのに!」

と思ったとすると、自分の中に怒りや攻撃性、批判性、妬み、暗闇が生まれます。

そして、その人たちが本当に不幸になったら

「ざまみろ!」

と思うでしょうか?

その時、自分の怒り、攻撃性、批判的な態度、妬み、暗闇はどうなりますか?

もっともっと、そのようなラジャス・タマスの質が増すのではないでしょうか。

 

でも、もしそういう人達の幸せを祈ったら。

実際に、幸せ、満足であったら、潜在的なラジャス・タマスの質がどんどんなくなっていき、サットヴァ的になります。

 

プラーナヴァーユの話を覚えていますでしょうか。

私たちの思考は、感情に、心になります。

だから他の人たちのために祈ります。

>>プラーナヴァーユを整える│アーユルヴェーダ基礎知識

 

3回目のシャンティ(世界の平和を祈る)

神々、自然など、高次のもの、宇宙、世界のために祈ります。

自然環境、宇宙の法則が、平和で、調和してありますようにと祈ります。

自然現象はコントロールできる範疇ではありませんが、それでも、穏やかな状態であるようにと、祈りを捧げます。

 


シャンティの解説をしました。

他人事のように思うでしょうか?

実際には、自分、周囲、世界のために祈ることなんてない、と。

 

でも、ヨガの練習の時に、

「Om shanti shanti shanti(オーム シャンティ シャンティ シャンティ)」

と唱えてみて、それぞれ、どのような意味だったかを思い浮かべるだけでも、

小さな平和が、ご自身の中に生まれるのではないでしょうか。