幸福感を生み出したり、ストレスや痛みを軽減するといわれるホルモン「オキシトシン」。
本稿ではこの「オキシトシン」について解説します。
オキシトシンとは
「オキシトシン」という言葉を聞いたことがありますか?
オキシトシンはホルモンの一種で、本来はお母さんの母乳を出すためのものです。
ギリシャ語で「早く生まれる」という意味の言葉が語源であり、古くから女性の出産や子育てに関連するホルモンとして広く知られていました。
現在では、他にも、ストレスを軽減し、癒し、幸福感を生み出すとしてホルモンとして、「幸せホルモン」「抱擁ホルモン」とも呼ばれ、注目が高まっています。
オキシトシンは、人と人との肉体的な接触、簡単なボディタッチでも分泌されます。
このことから、病気による様々な痛みを、触れることで軽減しようという、「タッチケア」の手法が、医療現場やリハビリテーションで取り入れられているといいます。
オキシトシンの効果
家族やパートナーとのスキンシップや信頼関係に深くかかわるホルモン「オキシトシン」には次のような効果がうたわれています。
- 人に優しくなれる。
- 心が癒され、幸せな気分になる
- ストレスを軽減する
- 不安や恐怖心が減少する
- 他者への信頼の気持ちが増す
- 気持ちが外向きになり、人と関わろうという思いが生まれる
- 人間関係を育もうという意識が高まる
- 学習意欲の向上
- 記憶力向上
- 免疫力を上げる
なぜ効果があるのか
私たちの体は、痛みやストレスを感じると、脳の扁桃体が不安や恐怖を感じ、慢性の痛みや症状の悪化につながります。
そんな時、オキシトシンが分泌されると、興奮している扁桃体を鎮め、副交感神経系を優位にします。
これにより、痛みの緩和の他、様々な効果が生み出されるのです。
オキシトシンを増やす方法
オキシトシンは、嬉しい、楽しい、気持ちいいと感じた時に脳で作られます。
オキシトシンを増やす方法としては、以下のようなことがあります。
- スキンシップをとる
- 親しい人とコミュニケーションをとる
- 会話をする(特に目を見て話す)
- 一緒にスポーツ、ゲームをする。
- 映画や本で感動する。
- 登場人物に共感する。
- ペットと触れ合う。
本や映画などからの感動体験によっても生まれますが、人や動物と触れ合うことが大切です。
コロナの感染拡大以降、すっかりオフライン生活が定着した今、オキシトシン不足になりやすい状況にあります。
以下では、「パートナーと接する場面」「家族や友達と接する場面」「人と接しない場面」の3つのケースに分けて、
オキシトシンを分泌させる方法を、より詳しく見てきます。
パートナーと接する場面
- スキンシップをとる
- 目をみて話をする
- 抱きしめる
- キス
- マッサージ
- 性行為
親密なパートナーがいる場合、オキシトシンを分泌させるのは難しいことではありません。
しかし、時にはパートナーと喧嘩してしまうこともあるでしょう。
そんな時にも、オキシトシンが役に立ちます。
例えば、喧嘩中、大声を出す代わりに、近寄って、相手の手を取って自分の気持ちを話したり、
相手の目を見て説明したりするうちに、オキシトシンが分泌され、怒りやストレスが軽減されます。
オキシトシンが、仲直りの瞬間を早めてくれるかもしれないのですね。
家族や友達と接する場面
オキシトシンを分泌させるには、恋愛関係にある相手が必要であるわけではありません。
相手の性別にかかわらず、例えば以下のような場合に、オキシトシンはちゃんと分泌されます。
- スキンシップ
- 家族団らん
- 友達とおしゃべりを楽しむ
- 仲間同士で食事をする
- プレゼントを贈る
- 人に料理を作る
家族や友人など、親しい間柄の人たちとの接触によってオキシトシンが分泌され、社交性やコミュニケーション能力の向上などにつながります。
人を信頼する心や、良好な人間関係を養う能力も身につくことでしょう。
人と接しない場面
時にはなかなか家族や友達とも会えないという状況に陥ることもあるでしょう。
しかし、そのような場面でも、オキシトシンが分泌されることはあります。
- ペットと触れ合う
- 感動体験をする
- 感情を表す
- 人に思いやりをもって接する
小説や漫画を読んで楽しんだり、テレビドラマや映画を見て感動することでもオキシトシンは分泌されます。
自然や素晴らしい景色を見て、「キレイ!」と素直に自分の感情を解放することも大切です。
いかがでしたでしょうか。
オキシトシンを分泌させるためだけに上記のような行動をするのは無理やり感がありますが、
心に負荷がかかっている、身体が痛い、などと感じた時に、意識的に敢えて人と触れ合ってみると、オキシトシンのパワーを借りて、状況を乗り切れるかもしれません。
オキシトシンを増やすための方法、是非、実践してみてください。