粉が水を吸う量が吸水量です。
同じ量の水分を加えても、使う粉によって吸水量が異なるため、生地が緩くなったり、硬くなったりするのです。
その粉がレシピに向いているか、向いていないか判断するために、吸水量を把握しておくことは重要です。
粉の種類別に、吸水量の違いを検証しました。
お菓子作り・パン作りでよくある失敗
- 米粉ケーキを焼いたら、どっしりとしてしまった。
- 米粉ケーキのレシピを小麦粉で作ったら、生地が硬くなってしまった。
- クッキーを米粉で作ろうとしたら、生地がしゃびしゃびしてまとまらなかった。
お菓子作りやパン作りをしていると、様々な失敗に出くわしますよね。
失敗する理由は各粉の「吸水量」にあるかもしれません。
事例
先日、グルテンフリーの焼き菓子を焼きました。
写真の、米粉とおからパウダーのキャラウェイケーキです。
米粉と大豆粉を使うレシピでしたが、試しに大豆粉をおからパウダーに置き換えてみました。
すると、生地が硬く、もったりとしてしまいました。
仕方がないので豆乳を足すことにしましたが、思っている3倍は足さないと、大豆粉で作った時のような生地の粘度になりません。
これは、大豆粉とおからパウダーの吸水量の違いが原因です。
大豆粉よりもおからパウダーの方が吸水量が高かったのです。
吸水量を知る重要性
文字通り、粉が水を吸う量が吸水量です。
同じ量の水分を加えても、使う粉によって吸水量が異なるため、生地が緩くなったり、硬くなったりするのです。
その粉がレシピに向いているか、向いていないか判断するために、吸水量を把握しておくことは重要です。
例えば上記のように、米粉と大豆粉を使うレシピで、仮に大豆粉を切らしていた場合、どのような粉で代替できるか、またはどのような工夫をすれば同じように仕上げることができるか、作戦を練りやすいのです。
別の言い方をすれば、レシピを開発する、あるいは何らかの理由で、Aの粉を使っているレシピをBの粉で代替したい時に、粉を変えることによって他の材料をどう変える必要があるのか、仮説を立てやすいのです。
そこで、今回それぞれの粉の吸水量を調べることにしました。
※前提として、同じ「米粉」であっても、製粉方法の違いによって吸水量は異なりますが、今回は「同じ粉のメーカー違い」ではなく「違う粉」同士で比べました。
調べ方
10gの粉と10gの水を混ぜる
対象食材
以下、14種類の粉を対象に調べました。
※アーモンドプードルを入れたかったところですが、息子のアレルギーが怪しいうちは、微粒粉末が飛ぶといけないので、調べないことにしました。
結果
吸水量が低い(さらさらっと溶ける)順に並べると以下のようになりました。
1.片栗粉・タピオカ粉(同じくらい)
2.米粉(共立食品の製菓用米粉)
3.ミズホノチカラ(パン用米粉)
4.薄力粉・ベサン粉(同じくらい)
5.全粒粉
6.強力粉・ラギ粉(同じくらい)
7.オートミール粉
8.ライ麦・きな粉(同じくらい)
9.大豆粉
10.おからパウダー
米粉 | ・サラサラになった。 |
ミズホノチカラ | ・サラサラになったが製菓用米粉ほどではなかった。 |
薄力粉 | ・溶けた餅のようにどろっとした。 ・ヘラで落としてもすぐには落ちず、粘り気がある。 |
強力粉 | ・薄力粉よりも粘り気が強い。 ・水を+3g加えると、小麦粉と同じくらいの粘度になった。 |
全粒粉 | ・粘り気がなく、ぽたぽたとする。 ・小麦粉とおなじくらいの硬さ。 |
大豆粉 | ・どろっとしてまとまらない。 ・水を+10g加えると、小麦粉よりもやや硬めになった。 ・重い。 |
きな粉 | ・大豆粉よりもやや緩い。 ・水を+10g加えると、薄力粉よりはゆるくなったが、米粉よりは硬いまま。 |
おからパウダー | ・全くまとまらない。 ・水を+30g加えると、なんとか緩くなったが、量が増え、もったりとした感じになった。 |
ベサン粉 | ・薄力粉と同じくらいのゆるさ。 |
片栗粉 | ・サラサラ。 ・放っておくと上澄みができる。 |
タピオカ粉 | ・片栗粉と同じ結果。 |
オートミール粉 | ・どろっとしている。 ・最初、薄力粉くらいやわらかかったが、時間を置くと水分をすって重くなる。数分で、強力粉くらいの硬さになっていた。 |
ライ麦粉 | ・まとまらない。 ・大豆粉よりは緩い。 ・水を+10g加えると、やや緩くなった。薄力粉より緩いくらい。 |
ラギ粉 | ・強力粉くらいの硬さ。 |
結果から言えること
吸水量の低い粉
同量の水で溶いたとき、さらさらと溶けるのが吸水量の低い粉。
加える水分が少なくなるため、ふわふわとした、軽い生地に仕上がる傾向があります。
吸水量の高い粉
同量の水で溶いたとき、なかなか溶けず、団子状になるのが吸水量の高い粉。
生地を滑らかにするために、たくさんの水分を必要とするので(生地がたくさんの水を吸うので)、どっしりとした重い生地に仕上がる傾向にあります。
次の課題
次の課題としては、吸水量の低い粉から高い粉に置き換えた時に(あるいは逆の場合に)、他の食材をどのように調整すれば、同じような仕上がりになるか、を検証することですね。
ひとまず、今回は吸水量の比較(選手権)を行いました。
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