アーユルヴェーダ料理にもよく使うスパイス、マスタードシード。
その種類、効果効能、料理への使い方について解説します。
マスタードシードとは
マスタードシードとは、アブラナ科の一年草の種子で、その種子を乾燥させたもののことを言います。形は小さな丸いつぶつぶです。
マスタードシードの原産地はユーラシア大陸中央、中央アジアから地中海のエリアと幅広く、様々な国で料理に使われています。
ご家庭で外国の料理を作る際には、その国でよく使われるマスタードシードを選んで使うと、より本格的になります。
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マスタードシードの種類
マスタードシードは一般的次の三種類に大分され、味や風味、用途が少しずつ違います。
※国によって呼び名が若干異なります。
辛みの強いブラック・マスタード
小粒で外皮が黒、3種類の中で最も辛み成分が強く、わさびにも似た鼻にツーンとくる辛さが特徴的です。
魚料理や肉料理との相性も抜群です。
幅広く使われるブラウン・マスタード
和がらし、インディアン・マスタードとも呼ばれています。ブラック・マスタードよりも色が薄く、茶色の外皮をもちます。ブラック・マスタードより辛み成分は少なめ。日本の調味料の練りからしの原材料にもなっています。
魚や肉料理はもちろん、カレーの香り・辛み付けなど、幅広い料理に用いられています。
大粒で最も辛くないイエローマスタードシード(ホワイト・マスタード)
粒が大きく、外皮の色が薄く、3つの中で最も辛さがマイルドです。ホットドッグなどに使われる黄色いマスタードはイエローマスタードシードを使っています。
魚料理や肉料理の風味付けや、カビや細菌を抑える成分が揮発しにくいことから、ピクルスやマリネ料理にもよく用いられます。
辛味と香りと食感
マスタードシードは主に辛味で、この辛みは種子に含まれる油成分によるものです。
生の状態の種子は無味無臭で、すりつぶして油成分と水分を混ぜ合わせることによってはじめて辛みが生まれます。
マスタードの辛み成分は、p-ヒドロキシベンジルイソチオシアネート。ブラックペッパーの辛み成分(ピペリン)、ともレッドチリの辛み成分(カプサイシン)とも違います。
マスタードの辛み成分はワサビに近く、鼻がツンとして涙が出てくるような、シャープな辛みです。
油で熱するとぱちぱちはじけ、香ばしい香りが立ち上り、成分が油に移ります。しかし、辛みは水分と混ぜ合わせることによって発生するので、油で熱するだけではそこまで辛みは出てきません。
また、ホールのまま料理に加えると、ぷちぷちとした食感が楽しめるのも特徴です。
マスタードシードの効能
ガンの予防
膀胱ガン、結腸ガン、子宮頸ガンなど、様々なガン細胞の増殖を阻害します。
喘息や気管支のトラブル
鼻づまりや喉のつまりを改善し、去痰作用をもちます。風邪の時や気管支炎の時に役に立ちます。
身体を温める
内用しても、外用としてマスタードオイルを塗布しても身体が温まります。
抗炎症作用、乾癬にも有効
リウマチ、炎症性腸疾患や過敏性腸症候群などの炎症による痛みを和らげる働きがあります。
また慢性的な自己免疫疾患の乾癬などにも有効である事が分っています。
コレステロール値・中性脂肪値を下げる
コレステロール値と中性脂肪値を下げる働きがあります。
高血圧
プラークの蓄積を阻み、血流を良くするので高血圧にも効果的です。
アンチエイジング効果
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンK、ルテインなど、抗酸化作用の高い成分を含み、身体を若々しく保つのに有効です。皮膚の張りやツヤにも期待できますね。
抗菌効果
カビや細菌の繁殖を抑える効果もあります。特にホワイト・マスタードの成分はブラック・マスタードやブラウン・マスタードに比べて揮発しにくく、その効果をより強く得られます。
……効果、ありすぎです(笑)
マスタードシードの保存方法
瓶での保存をお勧めします。袋の場合は、そのまま密閉性のある容器に入れても良いです。
特にブラウン・ブラックマスタードシードは香りの成分が飛びやすいため、気を付けて保存しましょう。
マスタードシードの使い方
炒め物、カレー、スープ、ピクルス、マリネ……
様々な用途に使えます。
アーユルヴェーダ発祥のインド料理では、すり鉢などですりつぶしてから料理に加えることも一般的。熱した油に香りを移して(テンパリング)から使うこともあります。
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