【造血のビタミン】葉酸を多く含む食品と調理における注意点

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栄養─本稿では造血のビタミンと言われ、妊婦、授乳期の女性に特に欠かせないといわれるビタミン「葉酸」について解説します。

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葉酸の主な働き

造血作用

ビタミンB12とともに赤血球の造血作用や皮膚や粘膜を強くする働きがあります。

DNAの合成・補酵素としてアミノ酸と核酸の代謝にかかわる

葉酸は植物に広く含まれるビタミン。腸内細菌により合成されます。

食品に含まれる葉酸は、腸内細菌が合成したものと一緒に吸収され、テトラヒドロ葉酸となり、補酵素として機能します。

テトラヒドロ葉酸は、DNAの合成や細胞分裂、メチオニン(ホモシステイン)への代謝にかかわっています。

葉酸不足から血中ホモシステインの濃度が上昇すると、心疾患のリスクが高まります。

また、新生児の神経管閉鎖障害の原因となります。

健康増進

悪玉菌アミノ酸であるホモシステインが善玉アミノ酸に変わり、動脈硬化のリスクがへる。

心筋梗塞・脳卒中・認知症予防に。骨粗しょう症の予防にも。

美容効果

肌のターンオーバー(皮膚が生まれ変わるサイクル)を改善します。

20代はこのサイクルが28日ですが、60代をこえると倍以上になります。

葉酸を十分にとると、細胞分裂の周期が整ってきます。

葉酸1日の摂取基準量(㎍/日)妊婦は多めに

一日の摂取量目安一日に240マイクログラムを取るよう推奨されています(厚生労働省:表参照。妊婦負荷量+240㎍、授乳婦使量+100㎍)。

また、WHOは400㎍の摂取を推奨しています。

1~2歳 90 90
3~5歳 100 100
6~7歳 130 130
8~9歳 150 150
10~11歳 180 180
12~14歳 230 230
15~17歳 250 250
18歳以上 240 240

しかし、取り込んだ葉酸が体内で活用されるのは50~60%。

だからこそ多めに摂取しましょう。

サプリメントは、30~60代の場合1日1000㎍まで。

摂取基準量の最新値は、厚生労働省のHPから、2020年版食事摂取基準を確認し、参考としましょう。

※前提として、1日当たりの摂取推奨値は「個人差」があります。

同じ年齢、性別だったとしても、推奨量は異なります。

この基準量を満たしたからといって、必ずしも不足していないとは限らない人がいることも重々承知しておきましょう。

がんの人は要注意

細胞分裂を促進し、がんの成長を助けることから、葉酸を多くとるのはNGです。

遺伝子型:日本人は葉酸を多めに摂らないといけない?

日本人は葉酸の代謝に関する遺伝子型が、CTまたはTTの人が多いため、もっと多く取ることが重要です。

※cc型は最も葉酸を利用できる能力をもっています。

同じ量の葉酸を摂ったとして、例えばcc型の人が葉酸を(100)%吸収できるとすると、CT型は(65)%、TTは(30)%しか吸収できません。

遺伝子型:CC型(日本人の約38%)、CT型(日本人の約47.5%)、TT型(日本人の約14.5%)。

葉酸の過剰症

大量摂取で発熱やじんましんなどの葉酸過敏症、亜鉛の吸収を阻害する恐れがあります。

葉酸の欠乏症

造血機能がおかされ、正常な赤血球ができずに巨赤芽球性貧血となり、食欲不振、口内炎、出血傾向などが起こります。

妊娠初期の不足は、胎児の脳神経の発育に支障をきたすことがあります。

葉酸を多く含む食品

  • 緑色野菜(菜の花、モロヘイヤ、ブロッコリー、枝豆など)
  • 果物
  • 大豆製品(納豆など)
  • 海藻類(焼きのり)
  • 茶(煎茶)
    ※お茶はペットボトルよりも煎茶(いれたてのお茶)がおすすめ。
  • 肉類(レバー)
  • 葉酸の上手な摂り方

葉酸を逃さない調理法

ゆでると流出しやすいのでスープにして丸ごと摂取

葉酸は熱に弱く、水に溶けやすく、ゆでると1/3が流れ出ます。

調理中に壊れやすいのですが、溶け出したスープまで飲めば逃さず摂取できます。

たとえば、ほうれんそうはゆでるより炒めたほうが葉酸が失われにくいです。

※シュウ酸が気になるところですが、しらすなどカルシウムが多い食品と一緒に摂るとそのリスクが下がります。

(ほうれんそうのアクに含まれるシュウ酸は尿路結石を引き起こしやすい)

ローフードで摂取

新鮮な果物や野菜を加熱しないで食べるサラダや納豆などがおすすめです。

全体を食べる

野菜の茎は捨てずに利用します。

特にブロッコリーの茎(葉も使える)には豊富に含まれています。

蒸す

蒸すのもおすすめです。

蒸した野菜の下に塩昆布をしくと、葉酸が溶け出しにくいです。

葉酸を含む食材の保存方法

光を避けて保存すると葉酸が減りにくいです。

葉酸は光に当たると分解されてしまうため、野菜の場合は新聞紙などでつつみましょう。

時間が経つと葉酸がうしなわれにくいので注意しましょう。