【中鎖脂肪酸とは】他の脂肪酸との違い・ケトン体に分解され使われる仕組み

中鎖脂肪酸 ブログ

母乳、牛乳、ココナッツオイルが含有している中鎖脂肪酸。

本稿では、中鎖脂肪酸の特徴や、ケトン体に分解され、再び使われる仕組みについてお伝えします。

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中鎖脂肪酸とは

中鎖脂肪酸は、飽和脂肪酸の一種です。

脂肪酸は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3つの元素からできています。

飽和脂肪酸は、炭素が水素で飽和されています(炭素の鎖の端に水素が結合)。

不飽和脂肪酸は、炭素同士が二重結合している部分がある構造です。

飽和脂肪酸も、結合している炭素の数の違いによって、次の3つに分かれます。

  • 短鎖脂肪酸・・・バターなどの乳製品に多い
  • 中鎖脂肪酸・・・ココナッツオイル、母乳、牛乳
  • 長鎖脂肪酸・・・豚肉、牛肉、鶏肉など、動物の脂身に多い

飽和脂肪酸

中鎖脂肪酸とほかの脂肪酸の違い

一般に脂質は、腸から吸収されるときに消化酵素の助けを借りますが、中鎖脂肪酸だけは消化酵素の助けを借りずに腸からすみやか(長鎖脂肪酸の約4倍の速さ)に吸収されるといわれています。

脂肪酸は腸で吸収されるとリンパ管を通って全身に供給され、ブドウ糖が不足するとエネルギー源になります。

しかし、余った脂肪酸は肝臓に回収されてコレステロールなどに合成されます。

一方、中鎖脂肪酸は腸から吸収されると、ブドウ糖やアミノ酸と一緒に門脈から肝臓に送られます。

肝臓でケトン体(後述)に分解され、血液中に供給されてエネルギー源として速やかに使われます。

エネルギー源として使われる速さは、長鎖脂肪酸のの約10倍といわれています。

ケトン体とは

ケトン体とは、アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。

エネルギー源として使われるのはβヒドロキシ酪酸です。

優れている点は、ブドウ糖より約1.25倍エネルギー効率が良いこと。

人体において、エネルギー源として最初に使われるのはブドウ糖です。

ケトン体をエネルギー源として使うには糖質制限をして、空腹時以外でもブドウ糖が少ない状態であるケトン体質をつくる必要があります。

この「ケトン体」という言葉は、妊娠期において耳にすることがあるかもしれません。

産婦人科で尿中ケトン体が陽性であると判定されると重度の妊娠悪阻と診断を受けること、点滴や入院が必要となる場合があること、などは皆様もご存知なのではないでしょうか。

つまり、身体が飢餓状態になると、身体がブドウ糖の代わりに、ケトン体をエネルギーとして使う(身体に蓄積されている脂肪、特に中鎖脂肪酸を分解してエネルギーとして使う)ようになるのです。

ということは、血液中にブドウ糖がいっぱいある状態では、肝臓で中鎖脂肪酸をケトン体に分解するケトン体回路は機能しないので、血液中のケトン体レベルは0。

これでは、体内の脂肪が分解されている状態とはいえません。

ケトジェニックダイエット

ケトン体の生成を促進して、脂肪、特に中鎖脂肪をエネルギーとして利用するケトジェニック回路を活性化する食事療法。

糖質制限をしてココナッツオイルをとることで、ブドウ糖をエネルギー源とする代謝システムの回路をオフにし、ケトン体をエネルギー源とするエネルギー代謝システムであるケトジェニック回路にスイッチを切り替えます。

そうすると、ケトン体とともに脂肪組織に蓄えられた中性脂肪もエネルギー源として使われて、確実に体重を減らすことができ、内臓脂肪型肥満も解消するといわれています。

ただし、上述のとおり、ブドウ糖がある状態ではこの回路は機能しないので、厳しい糖質制限が必要になります。

筆者個人としてはケトジェニックダイエットを行うことをおすすめしません。

ケトン体質

ケトン体をエネルギー源とするエネルギー代謝システムにすることを「ケトン体質になる」という。