アーユルヴェーダ関連書籍『緑の島 スリランカのアーユルヴェーダ』をご紹介します。
読んでいるとスリランカのアーユルヴェーダ治療院に滞在したくなるような、ワクワクする本です。
本の概要─『緑の島 スリランカのアーユルヴェーダ』岩瀬幸代著(2005年初版)
著者の岩瀬幸代さんは、海外旅行専門のライターさんです。
ベテランライターの岩瀬さんが、スリランカのリゾートホテルでアーユルヴェーダに出会い、その魅力にすっかりはまってしまいます。
オイルマッサージ、ハーブバス、シロダーラなどを受け、身体や心にまでおよぶ影響に驚くのです。
前半は、そんな岩瀬さんの、率直な視点からスリランカのホテル(バーベリン)での出来事が語られます。
結構、排便の話なども出てきますが、著者の語り口は気取った感じがなく、ユーモアがあるので、楽しく読めます^^
著者が好奇心を発揮し、後半ではホテルの中の出来事だけでなく、スリランカの伝統的なアーユルヴェーダ医のもとを回って、本当のアーユルヴェーダの施術に触れます。
お医者さんでもない、でもアーユルヴェーダを日常に取り入れている人々(もっともそういう人たちは、アーユルヴェーダが日常すぎて、アーユルヴェーダをやっているという意識すらない)、町のお医者さん、国立のアーユルヴェーダ研究所など、訪れる場所は様々。
取材を重ねる中で、スリランカという国はどういう国か、アーユルヴェーダの生きる知恵とは、など、著者が感じたことがそのまま綴られ、堅苦しくない文章で私たちに伝えてくれます。
本を読んだ感想
さくらももこの『世界あっちこっち旅行』を思い出しました。
この本は「教科書」でも「小説」でもなく、「エッセイ」や「旅行記」にあたります。
250ページほどありますが、とても読みやすいのであっという間に読み終わります。
リラックスして読める本です。
スリランカ料理に関する描写も多々あり……
世界ウルルン滞在記(←なつかしい)や世界ふしぎ発見!などが好きな方にとっては、この本を読んでいる時間は癒しになるでしょうし、
スリランカ行ってみたい~!という気分にもなるでしょう。
また、基本的なアーユルヴェーダの知識もところどころに散りばめられています。
わかりやすい表現で(しかもかなり本質を突いた)まとめてくれているので、アーユルヴェーダを全く知らない人でも、よく理解できると思います。
アーユルヴェーダの施術の様子や、スリランカの様子も分かってとても良いです。
町のアーユルヴェーダ医を訪れるところを読むと、
アーユルヴェーダの施術の綺麗なところばかりでなく、違った側面も見られて大変勉強になります。
薬に使われている素材にはびっくりです。
アーユルヴェーダが相手にしているのは「自然」だということが良く分かりました。。
スリランカのアーユルヴェーダ
みなさんはアーユルヴェーダというと、どの国を思い浮かべられますか?
インド?
スリランカ?
それとも、国とか思い浮かばない。
ただ頭にオイルを垂らしている映像だけが思い浮かぶ。
そんな方もいらっしゃるかもしれません。
インドからスリランカへアーユルヴェーダが伝わったのは、正確なところは分かっていませんが、少なくとも紀元前だったようです。
その時には、すでに土着の(固有に発展してきた)デーシャチキッサという伝統医療があったと本の中で解説されています。
双方が混ざり合ってスリランカのアーユルヴェーダとして発展してきました。
なぜデーシャチキッサとしての発展でなかったのかに関する研究もあるようです。
なんとなく、デーシャチキッサは文字で体系的にまとまっていなかったことから(←?)、経典のあるアーユルヴェーダに合わせていく方が、便利だったから、という推測をしています。
スリランカ固有のハーブを使っているものは、今でもデーシャチキッサの治療という扱いになるようです。
スリランカのアーユルヴェーダからの学び
インド人のヨガとアーユルヴェーダの先生で
「なんでスリランカが人気なの?インドが本場だからインドに来なよ」
とおっしゃる方がいました。
でも、スリランカはスリランカで、また違う目線で学ぶところがたくさんあると思います。
ヨガも、インドに学びに行くとは限らないので、似たようなことかと思います。
前述のように、スリランカはスリランカ土着の伝統医療とアーユルヴェーダを統合させてきた歴史があります。
なので、同じアーユルヴェーダでも似ていない部分があると思います。
これから日本でアーユルヴェーダを広めるにあたっては、このスリランカのたどった過程は、とても勉強になるはずです。
いかがでしたでしょうか。
後半は、スリランカにアーユルヴェーダが浸透した歴史に脱線してしまいましたが、
岩瀬さんの本は本当に読みやすくて面白いので、興味のある方は是非手に取ってみてください。
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