【アーユルヴェーダが捉える食べ物の質】麦は腕力を強くするが米は脳を養う

米 アーユルヴェーダ

食事中、または食後に、食べた感覚を「重い食事だった」「軽かった」などと表現することがあります。

アーユルヴェーダの食事法では、食べ物の質をとらえることを推奨しています。

本稿では、「重い」「軽い」という相反する食べ物の質について解説します。

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アーユルヴェーダの食事法

インドの伝統医療「アーユルヴェーダ」の中では、健康的な食習慣を確立するために、

どんなふうに食べたらいいか、どんなものを食べたらいいか、

という食べ物に関するガイドラインを示しています。

>>アーユルヴェーダとは

食べ物の質「グナ」

食べ物が持っている性質「グナ」をとらえることは、どんな食べ物を食べたら良いかを考えるための大切な要素の一つです。

食べ物がもっていると考えられるグナは、10組20種類はあるといわれており、これをグルヴァディグナといいます。

>>グルヴァディグナとは

本稿では、このグルヴァディグナの中の「重い」と「軽い」という性質について、例をとってみていきます。

>>「重」と「軽」

食べ物に関する「重」と「軽」

すべての食べ物は消化に重いか軽いです。

質量が「重い」か「軽い」かということだと思っていた方は、「消化」という視点をここで加えてください。

お粥は「重い」ですが、「軽い」クロワッサンよりも消化しやすいです。

サンスクリット語では、「重」は『guru・グル)』「軽」は『laghu・ラグー』といいます。

軽い食べ物は、消化中、体にめぐらす血流をそんなに必要としないので、体と心、魂を結合しようとする心の努力を助けてくれます。

重いものは、消化するためにより多くのエネルギーを必要とします。
脳が使うための血が少ししかなくなり、内臓にたくさんの血が送られます。

「軽」の性質をもつ食べ物

アーユルヴェーダの中で挙げられている軽い食べ物の例には、次のものがあります。

  • ムング豆
  • 鹿肉のような肉

アーユルヴェーダは古代の南インド発祥ですので、当時の食材が挙げられていますが、現代日本の私たちからして軽いものはなんでしょうか。

きっとお粥、うどん、くったりと煮た野菜、フルーツ、豆腐を挙げるかと思います。

「重」の性質をもつ食べ物

重い食べ物については以下の例が挙げられています。

  • ミルク
  • 黒豆
  • 生のフルーツや生野菜
  • 豚肉や牛肉。

牛乳に含まれるたんぱく質の一つ「カゼイン」は、消化が難しいと言われています。

ローフードは火が通っていないため、火を通したものよりは消化が難しいです。

また、同じ豆やお肉であっても、軽い性質のものと重い性質のものがあるようですね。

現代の日本で「重い」食材や食事というと、揚げ物や丼物、ケーキ、グラタンやステーキなどを思い浮かべると思いますが、それらにはたいてい、そもそも「重い」食材が使われていますね。

  • たいてい動物の肉は野菜や豆、穀物よりも重い
  • 生の食べ物は調理されたものより重い。
  • 保存食は、新鮮なものより重い。

と覚えておきましょう。

どちらの性質を摂るべきか

「重い」は消化に重いということであり、「軽い」は消化しやすいという意味もあるということを、もう一度念を押しておきます。

「重」と「軽」という性質のどちらを摂るべきかは、

個人のその時の状態によって異なります。

一般的には、重い食事より軽い食事の方がヘルシーで健康によさそうなのですが、重い食事を摂った方がいい場合もあります。

  • 自分に「軽」という性質が多い人(ヴァータ過剰な人)
  • 痩せこけてしまった人
  • 身体を作る必要がある人(成長期や安定期に入った妊婦さん)
  • 肉体労働をする人・運動量が激しい人

食べ物の質は変えられる

食べ物の質は、以下の方法により変えることができます。

食べ物の組み合わせ

例えば、牛乳はサフランとともに熱することにより軽くなり、米は牛乳と調理することにより重くなります。

調理法

例えば、消化しやすいさつまいもは、油で揚げる(てんぷらにする)ことにより重くなりますが、蒸すことにより軽くなります。

食事に関するアドバイス

「重い」と「軽い」という観点からすると、どのような食事が勧められるのか。

以下にポイントをみていきましょう。

  • 一回の食事の中に、ローフードと調理された食べ物を混ぜない。
    (生の食事にかける少量のソースやドレッシング、調理した食べものに添えるチャトニーなどを除いて)
  • 同じ食事の中に重すぎるものと軽すぎるものを一緒にしない。
  • 新鮮なものと古いものを混ぜない。
  • メキシコ料理とアイスクリームのような、とても温かいものと冷たいものを同じ食事の中に混ぜない。

麦は腕力を強くするが、米は脳を養う

主食の中では、米は軽く、麦は重いといわれています。

バスマティ米

バスマティ米

これに関して、こんなエピソードがあります。

北インドの麦を食べる人たちは、南インドの米を食べる人たちよりも、がっしりとした体形であることを誇りに思っていた。

南インド人は、このうぬぼれに対し的確に反撃した。

『Wheat increases brawn, but rice increases brain.
(麦は腕力を強くするが、米は脳を養う)』

と。

アーユルヴェーダの伝統によれば、

適切な量で、適切に消化された場合、心と平静を最も高める食べ物は、次の6つです。

  • ムング豆
  • 牛乳
  • ギー
  • はちみつ
  • きれいな

まとめ

「重」と「軽」という性質は、何も食べ物に関わらず、いろいろなところに見え隠れする性質です。

(心が重い-軽い、重い足取り-軽い足取り、重い決断-軽い決断など)

本稿では、食事に関する「重」と「軽」について解説しました。

以下にポイントをまとめます。

1.「重」と「軽」という性質は、「消化に重いか軽いか」という視点から考える

2.「重」-「軽」性質をもつ食べ物

  • たいてい動物の肉は野菜や豆、穀物よりも重い
  • 生の食べ物は調理されたものより重い。
  • 保存食は、新鮮なものより重い。

3.どちらの質を多く摂るべきかは、その時の個人の体質、状況、目的により異なる

4.食べ物の質は組み合わせや調理法により変えることができる

5.食事におけるアドバイス

  • 一回の食事の中に、ローフードと調理された食べ物を混ぜない。
  • 同じ食事の中に重すぎるものと軽すぎるものを一緒にしない。
  • 新鮮なものと古いものを混ぜない。
  • とても温かいものと冷たいものを同じ食事の中に混ぜない。

6.米は麦よりも消化が軽く、これに関するエピソードも残るほどだ