アーユルヴェーダの知識の中核「グルヴァディグナ」について取り上げます。
アーユルヴェーダを理解するために知っておくべき「グルヴァディグナ」
アーユルヴェーダではいろいろな「質」に着目し、その質を表す言葉や分類がたくさんあります。
・五大元素
・ドーシャ
・マハグナ
そして今日はグルヴァディグナ(サンスクリット語)です。
アーユルヴェーダを学ぶ上でなぜこういった「質」を理解することが重要なのでしょうか。
グルヴァディグナを学ぶ目的
「真の健康と幸福」を手に入れる
アーユルヴェーダの目的をいったん「真の健康と幸福を手に入れること」としましょう。
真の健康と幸福を手に入れるには、本来の自分の自然な状態(本質・プラクリティ)であり続けることが重要です。
けれど、生きているといろいろな周囲との関係とか、生活とか、環境によって、本来の自分から遠ざかってしまうような選択をし、結果不調を招いている、というケースが少なくありません。
本来の自然な自分との乖離をなくすために、アーユルヴェーダでは様々な「質」に着目します。
本来の自分が持っている質から、過剰・過不足なくバランスが取れている時に、私たちは心地いいと感じるので、過剰なものを抑え、不足を補ってやることが大事なのですね。
ステップ①自分が持っている「質」を正しく理解する
第一ステップは、自分が持っている「質」を正しく理解することです。
「質」と言ってしまうと「??」ですが、たとえてみると分かりやすいです。
・冷え性なのか、暑がりなのか
・乾燥肌なのか、うるおいがあるのか、
・活発なのか、落ち着いているのか
・人の面倒をみることが好きなのか、芸術作品を仕上げることに熱中するのか
ステップ②似た性質・相反する性質を取り入れる
第二ステップは、似たもの、あるいは反対の質を取り入れることです。
グルヴァディグナ、および「似たものが似たものを引き寄せ、相反するものがバランスを取る」という法則は「どうやって自分たちを本来の自然な自分に近づけることができるか?」を考えるために活用されます。
グルヴァディグナとは
ではグルヴァディグナとは何なのか?
それはこの世界の万物が持っている性質で、10対20種類あります。
冷 shita シータ | 熱 ushna ウーシュナ |
湿 snigda スニッダ | 乾 ruksha ルクシャ |
重 guru 重 | 軽 laghu ラグー |
粗 sthula ストゥーラ | 微 sukshma スクシュマ |
固 sandra サンドラ | 流 sara サラ |
静 sthira スティラ | 動 chala チャラ |
鈍 manda マンダ | 鋭 tikshna ティクシュナ |
軟 mridu ムルドゥ | 硬 akthina アクティナ |
滑 slakahna スラカーナ | 荒 khara カーラ |
濁 picchila ピッチラ | 清 vishada ヴィシャダ |
私は視覚から物を覚える人なので、とりあえず絵(図?)にしてみました。
英語表記は、それぞれの質のサンスクリット名です。
それぞれの質は、別の記事で詳しく掘り下げます。
>>「熱」と「冷」
>>「乾」と「湿」
>>「重」と「軽」
>>「粗」と「微」
>>「固」と「流」
>>「動」と「静」
>>「鋭」と「鈍」
>>「軟」と「硬」
>>「滑」と「荒」
>>「濁」と「清(透)」
ヴァータ・ピッタ・カパがもつ性質
アーユルヴェーダを知っている人なら、「体質診断」で3つのタイプ(7種類に分けることも。実際には各要素の保有比率によってタイプは無限大)に分かれることをご存知でしょう。
ドーシャがもつグルヴァディグナ(性質)は各ドーシャによって異なるので、
「あ、ヴァータが増えてきた。減らさなきゃ―」
という時には、ヴァータが持っている10種類の質のうち、特に乱れている質の反対の質を入れれば良いのです。
(例えばヴァータのもつ冷たい質が過剰になっているとしたら、熱を生むことをする)
ヴァータがもつグルヴァディグナ
冷、乾、軽、鋭、硬、動、流、微、荒、清
ピッタがもつグルヴァディグナ
温、湿、軽、鋭、硬、動、流、微、滑、清
カパがもつグルヴァディグナ
冷、湿、重、鈍、軟、静、固、粗、滑、濁
いかがでしたか?
それぞれの「質」の存在を理解したら、今度はどのようなものがどの質を持っているか、
どのようにバランスを取りあっているかを掘り下げて考えてみましょう。