ヨガの呼吸法「ウジャイ呼吸(生命力を引き上げる勝利の呼吸)」のやり方や効果、ヨガでの練習の取り入れ方についてお伝えします。
ウジャイ呼吸(Ujayi Pranayama)
サンスクリット語でウジャイ (ujayi)は勝利や拡がりという意味があります。
征服するこどや征服による獲得を意味する「ji」からの派生語で、それに東縛を意味する接頭語「ud」をつけた言葉です。
東縛からの解放を得られる呼吸法といえます。
ウジャイ呼吸法はヨガの呼吸法には珍しい、胸式呼吸です。
息を吸う時に肺を思い切り膨らませます。
また、喉の奥でシューッという摩擦音を出すのが特徴的です。
ウジャイの音を聞くと、スターウォーズのダースベイダーを思い出す、という練習生もいます。
ウジャーイ呼吸のやり方
ウジャイは立っていても、座っていても、横になっていてもどんな姿勢でも行うことができます。背骨を長くして座りましょう。
ぎっくり腰、ヘルニア、脊髄炎など腰の辺りに痛みや持病がある人はバジェラサナ(正座)かマカラサナ(ワニのポーズ)で行うと良いでしょう。
- 口を閉じて、ハァーとやさしく囁くようにして、のどの奥が振動しているのを感じながら吐く。
吸う時も同様に行う。
☆吐くときのほうが簡単にできることに気づくが吸うときにも同じようにできるように続けて練習する。
☆ロを閉じて鼻から吸っているが吸う息はのどの奥から入ってきている。
☆鼻から吸っているのではなくてのど奥から吸いこんでいる感じがする。 - 数呼吸繰り返す。ペースはゆっくり。
☆呼吸が薄くゆっくりと入り、ストローで吸っているようなつもりで行う。
分娩に備えるウジャイ呼吸
妊娠中はこの呼吸法を練習し、分娩過程に備えましょう。
仰向けの合せきのポーズ(スプタバッダコーナーサナ) などの楽な姿勢で始めましょう。
- 目を閉じてにリラックスし、手は体側、手のひらは上に向ける。
- 口を閉じて息を吸う。口蓋で呼吸が軽い摩擦音が生じるのを感じる。
☆肺が拡大し、胸が広がっていくのを感じる。
吸う息ごとに脊柱を伸ばし、赤ちゃんのためのスペースを作る。 - 吐く。喉の裏からも音が発される。
大腿骨 (太ももの骨)を床に委ねていく。
☆吐く息ごとに、私たちをしっかりと支えてパワーを与えてくれる大地に、自らをつなげていく。 - 数呼吸行い、完全にリラックスできたら、普通に息を吸う。
- 息を一瞬止めてから、ゆっくりと吐き、肺から全ての空気を出し切る。
呼吸を落ち着かせ、呼気を吸気よりも長く保つ。
このサイクルを12~15回繰り返す。
ウジャイ呼吸の効果
精神面
ウジャイは特に精神的な面での深いリラックス効果があります。
神経系の働きを穏やかにし、気持ちを落ち着かせ、精神を安定させます。
就寝前にシャヴァーサナで行うと、不眠症も緩和します。
身体面
身体的な面では、心拍数を減らす効果があり、高血圧の人に効果的です。
血栓などを流れの滞ったところを緩和します。
ダートゥ(bhatu)と呼ばれる身体の7つの構成要素ー血液・骨組織・骨髄・脂肪組織・体液・皮膚・肉のありとあらゆる問題を解消してくれます。
また、体を温めます。
長く深い呼吸をすることで空気の量を調節し、肺と横隔膜をのどの抵抗感に対して強く動かすことで強化します。
これがパワーを与え、ヨガの練習中疲れにくくなります。
ヨガの練習でのウジャイ呼吸の活用
座った状態でこの呼吸をマスターできたら、ウジャイをアーサナの練習中に使っていくと良いでしょう。
こうすると意識が呼吸に向かい、 余計なことを考える暇がなくなります。
その結果、練習にもっと意識を置いて現在に集中できます。
また呼吸は練習の心地よさを反映するし影響もします。
体が心地よく練習できていれば、呼吸は締め付けがなくスムーズです。
また意識的に呼吸をスムーズに行うことでアーサナの中に安らぎを感じられます。
もし呼吸が安定していない時は体のどこかに締め付けがあり、ウジャイの音が出せなくなるとアーサナが難しすぎるということが考えられます。
このことからウジャイの音は安全を確認することにも使えます。
ウジャイの呼吸法のときに、顔をしかめてしまう人が沢山いますが、顔に力をいれる必要が無いので、できる限り顔はリラックスさせておきましょう。
喉を強く締めすぎないようにします。
喉を締めるのは軽く、でも終始保てるようにします。