アーユルヴェーダの知識の中核「グルヴァディ・グナ」について、実生活や自己の経験に当てはめて考えてみます。
グルヴァディグナについて詳しく書いた記事はこちら
「動」と「静」
今日は「動(chala・チャラ)」と「静(stira・スティラ)」です。
ヴァータ・ピッタ・カパのもつグルヴァディグナ
アーユルヴェーダでは人の体質を3つに(7種類に分けることも。実際には各要素の保有比率によってタイプは無限大)に分けます。
ドーシャがもつグルヴァディグナは各ドーシャによって異なります。今日取り上げる性質「動・静」に関していうと、以下の通りです。
ヴァータ | 動 |
ピッタ | 動 |
カパ | 静 |
ヴァータは空間の中を自由に動き回る風。運動のエネルギーであることから「動」。
火の性質ピッタは、消化・代謝・同化と変換のエネルギーを司り、「動」の性質。
カパは水と地の性質で、ものをひとつにまとめる力・結合のエネルギーをもち、安定していて重さをもつことから「静」。
性質を実生活に当てはめてみる
自分の好きな視点で、実生活にあてはめてみましょう。
食べ物や行動の観点でたくさん想像できると、バランスが乱れた時に、どういう食べ物が、行動が、バランスをもたらすものであるかが分かるようになります。
食べ物
「動」・・・ウサギ・カモ・鳥の肉
「静」・・・牛肉
性格
「動」・・・行動力がある、フットワークが軽い、アクティブ、アウトドア
「静」・・・落ち着き、静か、ゆっくりしている、インドア
行動
「動」・・・出かける、乗り物に乗る、よく喋る、機敏
「静」・・・じっとしている、無口、ゆっくりとした動作
自然・物質
「動」・・・風、水、火、波
「静」・・・水、土、岩、山
「動」と「静」の例
実生活や個人の経験に当てはめて考えてみましょう。
「動」については何をイメージしますか?「静」はどうですか?
人の性質を「動・静」の観点で考えた場合、心と体の質が異なる場合もあると思います。
たとえば、キビキビ動いている人が、心が常に動いているかというと、実は集中して静かな状態かもしれません。むしろ集中しているからキビキビ動ける。
逆に、おっとり、ゆっくりして見える人でも、実は心の中ではいつも「次何しよう」と考えて、心がいつも動いている(今ここ・現在から心がいつも未来に行ってしまっている)可能性もあります。
心と体を切り離さないアーユルヴェーダの考え方からすると、何か矛盾しているように思えるし、どっちがいいとかダメとかではないです。
けれど、環境・状況によって、もともと自分が持っている生まれ持った「質」と、今その時の心と体の「質」が近かったり離れていたりするので、よく観察し、自分の状態に合った生活やプラクティス(たとえばヨガ)を心がけましょう。
カパを例にとると、カパは「静」の性質です。
体重が増えてきたし鼻がムズムズするからカパが増えてきたんだと思い、「動」を取り入れようとアクティヴに運動したり、おしゃべりをし過ぎたりするかもしれません。
でも、頭の中では、もしめまぐるしい環境の変化などが原因で、つねに「これをしなきゃ、あれも気になるな。なんか疲れる、いっそのこと全部投げ出しちゃおうか。でもな……」などとくるくる考えている。
それがストレスで過食になったり、陰鬱な気持ちを招いているのであれば、心の「動」をこれ以上増やさないため、瞑想なり、ゆっくりめのヨガのアーサナなり、生活の中に休息を取り入れるなど、本来ヴァータ体質に勧められるようなことをした方がいいかもしれません。
3つのドーシャを、誰しもがある割合でもっているので、本質的に割合は多くないけれど乱れているドーシャがあれば、それを治める働きをしたほうが良いです。
ただ、ヴァータは運動エネルギーで、他のドーシャの乱れをあおってしまうところがあるので、ピッタやカパが乱れている時でも、同時にヴァータを鎮めるような行いをしましょう。
ヨガアーサナから考える「動」と「静」
アーサナ練習は、日常的に心も体も動き回ることが多い人は、ゆっくりとした動きで、長い間ホールドすることを心がけると良いでしょう。
陰ヨガやリストラクティヴヨガも向いています。
逆に、家にとじこもりがち、動くことが少なく、心や体の動きが鈍く、重くなっている人は、動きを多くし、短めのホールドにすることを心がけると良いでしょう。
ヴィンヤサスタイルのヨガ、パワフルなヨガが向いています。
グルヴァディグナのその他の質
グルヴァディグナについて書いた記事、グルヴァディグナのそれぞれの質を1組2種類ずつ紹介したその他の記事は以下のリンクからご覧いただけます。
>>グルヴァディグナとは
>>「熱」と「冷」
>>「乾」と「湿」
>>「重」と「軽」
>>「粗」と「微」
>>「固」と「流」
>>「鋭」と「鈍」
>>「軟」と「硬」
>>「滑」と「荒」
>>「濁」と「清(透)」
いかがでしたでしょうか。
グルヴァディグナ、今日取り上げた「軽・重」について、皆さんも是非、イメージしてみてください。