妊娠中に行うと、様々な効果が期待できるマタニティヨガ。
本稿では、マタニティヨガのポーズのジャンル別に、どのような身体的、精神的効果が期待されるかお伝えします。
マタニティヨガとは
マタニティヨガは、通常のヨガを妊婦さん向けにアレンジしたヨガです。
妊娠中の心身にできるだけ負担をかけずに行える内容となっています。
最近では産院でも講座が開かれるなど、多くの方が触れる機会が増えています。
マタニティヨガのポーズのジャンル別に、どのような効果が期待されるか、以下にご紹介します。
マタニティヨガの効果（ポーズのジャンル別）
立位のポーズ
立位のポーズでは常に、脚を腰幅より広めに保ちます。
姿勢を正し、身体のエネルギーを高めて安定させます。
また、立位のポーズはスタミナと強い意志を必要とするため、精神も強化し、精神的にも分娩の準備をするのに適しています。
胸と腹部周りを開き、脊柱を伸展させます。
脊柱は、子宮の重さや増えた分の体重に耐えるために、強さと柔軟性を兼ね備えなくてはいけません。
殆どの立位のポーズが、胎児に圧力をかけずに腹筋を鍛えるので、脊柱をうまくサポートします。
妊娠後期には、長い間立っていると動悸や息切れを感じ、疲れてしまうことがあります。
その場合はすぐ休んでください。
ポーズを続けられるようなら、壁をサポートとして使い、キープ時間を短めにしましょう。
ポーズから出る時も動作をゆっくりし、めまいや立ちくらみが生じないようにしましょう。
陣痛や分娩においては、スクワットが出来ると非常に有益です。
ウトゥカタコナーサナ（女神のポーズ）やマーラーサナ（花輪のポーズ）も有効的です。
ただし、ねじりのポーズは、妊娠初期を過ぎたら推奨できません。
後屈のポーズ
妊娠中は支えのある後屈のポーズにより、多くの恩恵を受けられます。
後屈のポーズは、前部脊柱筋（身体の前側）の調子を整え、前腹壁と横隔膜の筋肉をストレッチさせます。
子宮の成長に従って身体が順応できるようサポートしてくれるのです。
胸を広げることにより、精神が高揚し、前向きな、明るい気分にさせます。
妊娠中は、強い後屈のポーズは勧められません。
プロップスを用いた、支えのある受動的な後屈のポーズ（たとえば、仰向けの合せきのポーズ (スプタバッダコーナーサナ)や仰向けの英雄のポーズ (スプタヴィラーサナ)）のほうが心地よいと感じるはずです。
支えのある後屈のポーズであっても、子宮による腎臓や膀胱への圧迫を軽減できるため、吐き気を落ち着かせ、腹部の膨満感を解消する助けになります。
座位のポーズ
座位のボーズは、腰痛を解消し、恥骨周りの重さを軽減します。
骨盤底を伸張して調子を整え、膣口を柔らかくして伸長させ、脊柱を強化します。
また、股関節や鼠径部、膝の硬さを解消します。
脊柱を伸ばして座るのが難しい場合は、プロップスを使ったり、手を壁に置いたりして、身体を支えましょう。
無理をするのではなく、安定した状態でポーズを行いましょう。
座位のポーズ中、背筋をまっすぐに伸ばして座れるようになれば、呼吸法や瞑想中も体に違和感や痛みを覚えにくくなります。
背中を反らし、身体の前側を伸ばすことで、腎臓への血行を高め、腰や骨盤、鼠径部の硬さを解消し、子宮を持ち上げて調子を整え、骨盤底を弛緩させて下肢への血行を高めることができます。
ただし、腹部を過度にストレッチさせないように気をつけましょう。
腹部は繊細で、子宮の平滑筋を痛めることもあります。
妊娠中はリラキシンというホルモンの分泌が活発になり、靭帯が緩んでいます。
過度にストレッチしたり、無理にポーズを深めたりしないようにしましょう。
例えば、合せきのポーズ (バッダコーナーサナ)を行なう場合は、両膝の下にボルスターを置きましょう。
ねじりのポーズ
ねじりのポーズは、腹部を圧迫し、排出効果を促すため、妊娠中は基本的にねじりのポーズを避けます。
赤ちゃんが動き回り成長できるようなスペースをなくすことはしたくありません。
ただし、賢者のポーズ (バーラドゥヴァージャーサナ)のような、シンプルで穏やかなねじりのポーズは、特に妊娠初期に生じるような腰痛を解消し、副腎や子宮、卵果への新鮮な血液の流れを高める効果があります。
逆転のポーズ
逆転のポーズは、首や肩、脊柱の緊張を取り除きます。
内分泌系 (下垂体、視床下部、甲状腺など)を活性化し、快適なマタニティライフをもたらすとともに、陣痛、分娩に必要なエネルギーを母体に与えてくれます。
また、骨盤底から子宮を持ち上げて、身体の重さを解消し、腎臓や視床下部への血液供給量を増やして塩分と水分の貯蓄を正常にさせます。
しかし、ポーズに快適さを感じなくなったら（妊娠中期から後期に感じる人が多い）、逆転のポーズを取るのを止めましょう。
最も簡単で穏やかな逆転のポーズは、仙骨の下にボルスターを置いた、脚を壁に上げるポーズ(ヴィパリータカラニ) です。
